(42)幼児の命を救った犬
1977年5月、スウェーデンのマルメーという町に住んでいたロンゲモ家は、1頭のシェパードを飼っていました。
しかし、娘が生まれたことから、家族は幼い子どものそばに大型犬を置いておくことに不安を感じていたので、犬を手放そうと考えていました。
父親のレイヴ・ロンゲモは、アパートの3階の自室に戻ってきて、2歳になる娘がいなくなっていることに気づきました。
窓が開いていたので、外を覗いてみると、外壁につけられている狭いコンクリートの棚の上をハイハイして進んでいく娘の姿を見つけたのです。
娘はすでにレイヴの手が届かないところまで進んでいて、コンクリートの棚は、大人が乗れるほどの幅がなく、、助けようがありませんでした。
しかし、娘のすぐ後ろには、飼い犬のシェパードがついていたのです。
困ったように鼻を鳴らしながら、娘の後ろについていた犬は、おむつをくわえると、娘を引きずりながら、少しづつ窓に向かって後ずさりを始めました。
その後ろ向きの旅は、3分間続いて、ようやく、娘を室内に連れ戻すことができたのです。
もちろん、その後、シェパードは、かけがえのない家族の一員として、大切にされるようになりました。
(参考資料)
「地上の天使たち」 ステファニー・ラランド著 原書房刊