(41)火災から家族を救った大型犬
クリスマスの夜中の3時、16歳のパール・カールソンは、飼い犬のジャーマン・シェパードの「キング」が部屋に入り込んできて、しきりに毛布をひっぱっているのに気づきました。
パールは、専用の部屋に入れられて眠っているはずのキングが、どうして自分の部屋にいるのだろうと思ったのです。
キングを追い出そうとベッドから起き上がったパールは、部屋に煙が充満しているのに気づきました。家が燃えていたのです。
パールは、部屋を飛び出して、両親の部屋に駆け込み、ふたりを揺り起こしました。
母親のファーンは、パールを屋外の安全な場所に逃がすと、家の中に戻って、夫のハワードを助け出そうとしました。ハワードは、肺を患っていて、介助しなければ歩けない身体だったのです。
床に倒れているハワードを動かそうとしましたが、ファーンの力だけではとても無理でした。そのとき、キングがハワードの身体を持ち上げる手助けをしてくれたので、やっとのことで避難させることができました。
キングは、前足の火傷、背中の裂傷以外には、特に目立った傷は負っていないようでした。
しかし、火事の翌日、ドッグフードを与えても、食べようとしないのです。
おかしいと思って、キングの口の中を調べてみると、尖った木の破片がいくつも歯茎に刺さっていました。
キングはドアを咬み破って、自分の部屋から出て、家族に火災を知らせたのです。
口の中の木の破片は取り除かれ、キングも回復していきました。そして、近所の人たちがかわるがわるステーキをもってきてくれるので、すっかりデブになってしまったそうです。
(参考資料)
「地上の天使たち」 ステファニー・ラランド著 原書房刊