(40)犬の友情


2匹の犬、ブラウニーとスポッティーは、大の仲良しで、毎日、互いの家を行き来して遊んでいました。彼らが通う芝生は、踏みならされて、小道ができてしまうほどでした。


ある日、ブラウニーが夜になっても帰ってきませんでした。家族は、どうせ、そのへんをうろついているのだろうと思って、特に探すこともしなかったのです。


ところが、次の日になってもブラウニーは、姿を見せず、次の週になっても戻って来ませんでした。


そのうち、スポッティーが、ブラウニーの家にやってきて、吠えたり、鼻を鳴らしたりして、うるさく、家族につきまとうようになったのです。


あまりにしつこいので、根負けした主人のテッドが、スポッティーの後をついていくと、駆けて行って、立ち止まり、「いっしょに来て!」とうながすかのように吠えるということを繰り返したのです。


スポッティーは、柵をくぐり、やぶを通り抜けて、家から800メートルも離れたところにある荒地まで、テッドを導きました。


テッドは、そこで、鉄製のわなに後ろ足を挟まれているブラウニーを見つけました。そして、ブラウニーのまわりには、無数の骨や食べかすが散らばっていたのです。


獣医の治療を受けて、ブラウニーは回復しました。


後でわかったことですが、スポッティーは、飼い主をブラウニーのところに連れていっただけではなく、動けなくなった友達のために、自分に与えられた食事を運んでいたのです。


その後も、2匹の犬の友情は変わらず、何年も続いたそうです。


(参考資料)

「地上の天使たち」 ステファニー・ラランド著 原書房刊


地上の天使たち