●プロバイオティクスとは?


「プロバイオティクス」は、生物間の共生関係を意味する生態学的な用語が基になっており、「腸内フローラのバランスを改善することによって、宿主(人など)に有益な作用をもたらす生きた微生物」と定義されています。


人間の腸には、約100種類、1000兆個もの、細菌が棲みついていると考えられています。たくさんの細菌たちが存在している様子(腸内菌叢)を、「腸内フローラ」と呼んでいます。


腸内フローラには、善玉菌と、悪玉菌、そして、日和見菌がいて、常に勢力争いをしています。


善玉菌(有用菌)

 乳酸菌群    乳酸桿菌(にゅうさんかんきん)=ラクトバチルス菌

           ビフィズス菌、腸球菌


悪玉菌(有害菌)

 腐敗菌群    ウェルシュ菌、大腸菌、ブドウ球菌、緑膿菌

 その他の菌群 バクテロイデス、ユウバクテリウム、嫌気性レンサ球菌、クロストリジウム


私たちが健康でいるためには、腸内フローラの細菌バランスがほど良く保たれていなければなりません。


ウンチに含まれている細菌を調べたところ、人(成人)と動物の腸内フローラに共通しているのは、バクテロイデス、ユウバクテリウム、嫌気性レンサ球菌などの嫌気性菌が、最優勢フローラを作っているということでした。


そして、ビフィズス菌か乳酸桿菌が、乳酸菌として、最優勢フローラに加わって、バランスを保っています。


人間の場合には、腸内に住み着いている乳酸菌は、ほとんどがビフィズス菌です。それに対して、犬の腸内では乳酸桿菌(ラクトバチルス菌)が、多くなっています。


機能性食品


機能性食品には、次の3種類があります。


1.プロバイオティクス


生きた状態で食べると、腸内の有用菌を増やしたり、有害菌の増殖を抑制するなどの健康に良い効果をもたらす細菌や酵母。

乳酸菌、納豆菌、酪酸菌などの生きた細菌、ヨーグルトなどの発酵乳、乳酸菌飲料など。


2.プレバイオティクス


消化されにくい食品成分なので、大腸まで届いて、そこに棲みついているビフィズス菌や乳酸桿菌のエサになり、それら有用菌を増殖させる。その結果、有害菌のウェルシュ菌の増殖を抑えて、腸内環境が改善される。

オリゴ糖、食物繊維、BGS(乳飲料/プロピオン酸菌による乳清の発酵物)


3.バイオジェニックス


直接、免疫機能を高めたり、コレステロール、血圧、血糖値を下げたり、活性酸素を減らしたりする効果がある食品成分。がんや老化を予防する。


生理活性ペプチド、植物フラボノイド、DHA、EPA


プロバイオティクス・プレバイオティクスの作用


乳酸菌、納豆菌などのプロバイオティクス、オリゴ糖、BGSなどのプレバイオティクスは、腸内のビフィズス菌や乳酸桿菌などの善玉菌が増殖するのを助け、その結果、悪玉菌の増殖が抑制されるので、腸内細菌のバランスが改善されます。


食物として摂ったタンパク質に、腸内の有害菌が働くと、アンモニア、アミン、インドール、硫化水素といった腐敗生成物が作られます。その一部が吸収されて、長い間には、肝臓や腎臓に負担をかけると言われています。


ビフィズス菌や乳酸桿菌は、大腸内で糖質を利用して、乳酸や酢酸を作り出します。それが、腸内での病原菌や腐敗菌の増殖を抑えます。


腸内環境を整える乳酸菌群には、次のような効用があると言われています。


・ウンチに含まれる腐敗産物が減少するので、ウンチの嫌な臭いが少なくなる


・過敏性腸炎、クローン病、潰瘍性大腸炎などによる下痢を緩和する


・ガンや老化の原因になる活性酸素や変異原(突然変異を誘発する源)を減らす


・乳酸菌は、発がん物質を吸着したり、分解する働きがあるので、ガン予防になる


・乳酸菌が作る乳酸や酢酸が、腸の蠕動(ぜんどう)をさかんにするので、快便になる


・乳酸菌の菌体に含まれる免疫機能を高める物質が、腸管免疫を刺激して、免疫力を高める


・ビタミンを作りだす。乳酸菌は、ビタミンB1、B2、B6、B12、K、ニコチン酸、葉酸などを作りだす


プロバイオティクスのドッグフード 「ペットウェルシス」の製造工程


ペットウェルシス

納豆菌の近縁の発酵菌を使って、ドッグフードの原材料を全て発酵させたドッグフードが、ペットウェルシスです。


Ⅰ-1. 豚肉、パン粉、ビール酵母などの原料を混合する

Ⅰ-2. 納豆近縁菌を加えて、攪拌し、一次発酵を開始する

      75℃程度まで加熱して、約3時間、攪拌を繰り返すと、原料が発酵し始める


Ⅱ-1. 攪拌を止めて、二次発酵を開始する
      75℃を維持しながら、発酵を継続させる

      約22時間、静置することで、自然熟成させる

Ⅱ-2. 発酵の状態を確認する


Ⅲ-1. 75℃を維持しながら、加工・成型をおこなう

      圧力射出成型(2輪エクストルーダー)で成型する

Ⅲ-2. 異物混入がないか、水分含有量などの品質チェック


Ⅳ-1. 大型のコンベア式オーブンで、約80分間、乾燥させる

Ⅳ-2. コンベア上をゆっくり動かしながら、約30分間、冷却する


Ⅴ-1. コンピュータ制御の計量器で計量しながら、自動包装する


ナチュラル発酵フード「ペットウェルシス」のメリット


「納豆菌の繊維分解酵素「セルラーゼ」が、植物性の原料の細胞壁を破壊する」


植物の細胞に含まれているタンパク質、必須脂肪酸、ミネラル、ビタミンなどの栄養素、β-カロチンやポリフェノールなどが、消化吸収しやすくなる。


「原料を発酵させることで、タンパク質は、消化吸収しやすいアミノ酸に分解される」


分子量が1000個以上のタンパク質は、体内に吸収されても、異物と認識され、アレルギー症状を引き起こす原因になる。


原料を発酵させることで、タンパク質は、分子量の小さなタンパク質やアミノ酸に分解される(予備消化状態)ので、食餌性のアレルギーを引き起こしにくい。(=低アレルギー作用)


「発酵熱で菌やカビが死滅するので、防腐剤を添加する必要がない」


(参考資料)

「健康長寿のための食生活 腸内細菌と機能性食品」 光岡知足著 岩波アクティブ新書刊