(31)山犬のはなし (愛知のむかし話)


あるところに、山犬の巣がありました。


近所のおばあが、その巣のなかに、ぼたもちを入れてやりました。


山犬は、よっぽどうれしかったようで、人には決して見せることがない自分の子犬を、口にくわえて、ひとつひとつおばあの足元まで持ってきて、見せたのです。


おばあは、「ええ子だのう」と言いながら、孫をあやすように、一匹ずつ、抱いてやりました。


珍しい話です。