(12)嵐を予知した犬
ニューイングランドの漁師、ウィリアム・モンゴメリーには、愛犬のレッジーがいました。レッジーは、子犬の頃から、漁についていくのが大好きでした。
ある日、さんさんと太陽が輝く中を、何十隻もの漁船が出港していきました。
しかし、海に出ることが大好きなレッジーなのに、この日に限って、どうしても船に乗ろうとせず、桟橋の先端にうずくまって、けたたましく吠えまくりました。
猟師のモンゴメリーは、そんなレッジーの不可解なふるまいになんとなく不安を感じて、漁に出るのをやめてしまいました。
朝は、雲ひとつなく、晴れ渡っていて、そよ風さえ吹いていませんでしたが、午後になると突然、激しい風雨が襲ってきて、10メートルもの高波が押し寄せ始めたのです。
それは、1938年の大型ハリケーンだったのです。このハリケーンでは、多くの漁船が沈み、600人もの命が奪われました。
後に、モンゴメリーは、「自分が命拾いしたのは、嵐の来襲を嗅ぎつけた愛犬レッジーの『するどい犬勘』のおかげだ」と、話したのです。
(参考図書)
「地上の天使たち」 ステファニー・ラランド著 原書房刊