(6)ヒョウと犬と羊(アフリカの民話)


ヒョウの夫婦と犬とが一軒の家に一緒に住んでいました。犬は、召使のように使われていました。


雨の季節が来ると、ヒョウと犬はアリ塚を見つけにでかけ、たくさんのアリを捕って帰ってきました。食べ残したアリは、お日様に乾して、塊にしました。


ヒョウは、親類のところに出かける時に、そのアリの塊をみやげにしようと考え、袋に入れて、犬にそれを運ばせました。


犬は、旅の途中で、ヒョウに「だんな、気分が悪いから、草の中に行ってくる」と告げて、草むらに入ると、アリの塊を食べてしまいました。そして、かわりに袋に枯れ草を入れておきました。


ヒョウが親類の家に着いて、あいさつをしている間に、犬は逃げてしまいました。アリの塊をみやげにするつもりだったヒョウは、袋の中が枯れ草だったので、ずいぶんバツの悪い思いをしました。


しばらくして、ヒョウのおかみさんが双子を生みました。ヒョウの親類が集まって、祝いの宴を設け、そこに羊も呼ばれていきました。


羊は友だちの犬に、宴がとてもおもしろかったと伝えると、犬がとても残念がりました。羊は、「朝になったら、君をぼくの尻尾に乗せて、連れて行ってあげる」と言いました。


羊は犬を尻尾に乗せて、いっしょに踊りに行きました。羊は調子に乗りすぎて、踊っている最中に犬を落としてしまい、犬はすぐさま逃げてしまいました。


それに気づいたヒョウは、たいそう怒って、羊を捕まえて食べてしまいました。


犬は、人間のところまで逃げてきて、いっしょに暮らすようになりました。


そのときから、羊とヒョウは敵どうしになり、犬は羊を守るようになったとさ。