(1)ほら吹きジャッカル (インド)


ジャッカルの夫婦に3匹の子どもが産まれたので、手狭になった巣穴を出て、あちこち探して、大きな穴に移りました。ところが、それはトラの巣穴だったのです。


心配する母ジャッカルに、父ジャッカルは、「トラが戻ってきたら、子どもたちをつねって、泣かせなさい。そうしたら、俺がわけをたずねるから、お前は、『この子たちがトラを喰いたいと言って、泣いている』と言えばいいのさ」と答えました。


ある日、本当にトラが巣穴に戻ってきたので、母ジャッカルが「子どもたちが、トラを喰いたいと泣いている」と言うと、それを聞いたトラは、びっくりして逃げ出しました。


トラがあわてふためいて逃げている様子に、サルが声をかけて、わけを尋ねました。トラは「俺の巣穴に魔物が棲みついて、この俺を食べると言っているんだ」と答えました。


悪賢いサルは笑いながら、「どれ、私が一緒に行って見てやろう」と言いました。


トラは、サルを背中に乗せて、巣穴に戻っていきました。


それを見た父ジャッカルは、「今度こそ、だいじょうぶだ!サルのおじさんがトラを捕まえて、連れてきてくれたぞ」と叫びました。


トラは、「サルもグルだったのか」と、あわててサルを背中から振り落として、一目散に逃げて行ってしまいましたとさ。