(4)犬の血液型
犬の血液型は、13種類以上あると言われていますが、国際標準のDEA(Dog Erythrocyte Antigen)では、9種類の血液型に分類されています。
1.1 1.2 1.3 3 4 5 6 7 8
犬どうしでは、「DEA1.1」が陽性(+)か陰性(-)かで、輸血が可能かどうかが判断されます。
DEA血液型は、犬の赤血球の表面にある抗原の種類を示しています。
ヒトの場合には、血液型はABO式で、例えばA型といったようにひとり1種類の血液型ですが、犬の場合には、1頭で複数のDEA血液型を持っています。
適合しない血液型を輸血すると「急性溶血反応」という死に至る副作用が起こります。この副作用は、血漿に含まれる「自然抗体」と呼ばれるものの働きによるものです。
ヒトの場合には、例えば、血液型A型では、血漿中にB型の血液に対して副作用を起こす自然抗体が含まれています。A型のヒトに誤ってB型の血液を輸血してしまうと、A型がもっている抗B抗体によって、輸血されたB型の血球が全て破壊され、その反応によって臓器に障害が起こって、死に至ります。
犬の場合には、血液に自然抗体を持つものがほとんどなく、血液型が違っていたとしても、初回だけはほとんど重篤な状態にはならないため、かつては、緊急時には血液型をチェックしないで輸血が行われていたこともあったそうです。
現在では、試薬によって、犬の血液型「DEA1.1」が陽性か陰性かを判定した上で、適合する血液が輸血されるようになっています。