(11)マイクロチップ
2008年6月から施行された改正動物愛護管理法では、次のような改正が盛り込まれました。
これまで届出制だったペット取扱業者が登録制になりました。一定の要件を満たさない業者は、登録が取り消され、ペットに関する仕事ができなくなります。
ペットを遺棄したり、虐待した場合の罰金が、30万円以下から50万円以下に引き上げられました。
2005年に施行された「特定外来生物法」で、アライグマやカミツキガメなどへのマイクロチップの装着が義務化されましたが、さらに改正動物愛護管理法でも、ワニやクマなど人間に危害を及ぼす危険性のある「特定動物」に対して、マイクロチップによる個体識別措置が義務化されました。
マイクロチップは、動物の背中などに埋め込む極小のガラス製(鉛を含まない生体適合ガラス)の円筒で、「電子迷子札」のようなものです。
長さ11~13mm、直径2mmの円筒の中には、15桁の登録番号(ISO規格)が記録されています。この番号は、世界共通で、3桁(国名)+2桁(動物コード)+2桁(ディーラーコード)+8桁(個別識別コード)となります。
例えば、マイクロチップリーダーで、迷子になった動物のマイクロチップから登録番号を読み取って、動物ID普及推進協会(AIPO)に照会すると、飼い主がわかるといった仕組みです。
1995年の阪神・淡路大震災では、多くの迷い犬や迷い猫が出て、飼い主がみつからないといったケースが多かったことから、ペットの個別認識の必要性が叫ばれ、マイクロチップの埋め込み運動が本格化したといわれます。
マイクロチップは、インジェクター・インプランターと呼ばれる注射器のような専用の器具を使って、背中側の首筋から肩甲骨のあたりに、埋め込みます。通常の皮下注射と同じで、短時間で終わり、麻酔も必要ありません。
埋め込み費用は5,000円から10,000円程度、それにAIPOへの登録費用1,000円がかかります。
副作用はほとんどなく、外部からの衝撃などによる破損の報告はありません。少なくとも30年ぐらいは機能するので、ペットの場合には、一度装着したら、一生涯有効ということになります。
マイクロチップは、1987年にイギリスで使われ始め、欧米では多くの国々で導入されています。フランス、デンマーク、ベルギー、スウェーデン、シンガポール、台湾、香港、スロベニアなどでは、登録制度としてペットとのマイクロチップの装着が義務づけられています。
また、ペットを同伴して旅行をする場合に、マイクロチップ装着が条件になっている国は、イギリス、フランス、シンガポール、台湾、香港、オーストラリア、ニュージーランドなどです。
AIPO事務局(社)日本動物保護管理教会内 TEL:03-3475-1695