(9)捜索救助犬のサブ・コマンド
①「さがれ」
Uターンではなく、後ずさりすることを教えます
1. 犬の肩の高さぐらいの長方形の箱2つを、犬の体が通るギリギリの間隔、U-ターンはできないぐらいの隙間で、平行に並べる。その箱の上に犬の頭が出ていて、犬が閉じ込められたと感じないようにしなければならない。
2. まず、隙間を前向きに歩かせる。慣れるまで繰り返す。箱の上に飛び上がったりしないように注意する。
3. 慣れてきたら、犬の鼻先が隙間の最前部にくるところまで進ませて、そこで止まらせる。
4. ハンドラーは、自分の身体が犬の鼻につくぐらい近くに対面して立つ。
5. ハンドラーは、「下がれ」のコマンドをかけ、ゆっくりと犬に向かって歩を進める。
急がせるとおびえたり、箱の上に飛び乗ってしまったりするので、犬にゆっくりとプレッシャーをかけて、何を要求されているのかを犬が理解して、自分から後退するようになるまで待つ。
6. 最終的には、用具を使わなくても、ハンドラーが犬に対面して立ち、「さがれ」とコマンドをだせば、犬が後退するようになることを目指す。
②「止まれ」
その場で動きを止め、ハンドラーからの次のコマンドを待ちます。
「止まれ」のコマンドは、「待て」あるいは「立って」のコマンドのバリエーションのひとつです。違いは、「待て」では、犬は座るか伏せの姿勢で待ちますが、「止まれ」では、コマンドがかかった時の姿勢のままで動きを止め、次のコマンドを待つものです。
1. 十分な長さのあるロープを用意する
2. ロープを犬の首輪につけて、そのロープを柱や木に回して、犬→木→ハンドラーとUの字を描くようにする。
3. なるべく離れてから犬を呼ぶ。
4. 犬がハンドラーに向かってきたら、「止まれ」とコマンドをかけ、そっとロープを引っ張って、前に進むのを止める。「止まれ」に手の合図を添えても良い。
5. 犬が止まったら、ほめる
最初のうちは、「止まれ」のコマンドを聞くと、座ったり、伏せたりするかもしれませんが、気にせず、好きな姿勢をとらせます。
③「回れ」
狭い場所で犬をUターンさせます。
1. 10センチ幅の板の上をうまく歩けるようにトレーニングする。
2. 少し高い位置に、幅15~30センチの板を用意する。
3. ハンドラーとアシスタントが犬の両脇に立つ。
4. 「止まれ」か「待て」の姿勢にさせ、次に「回れ」のコマンドをかけながら、U-ターンするように犬の首をゆっくり回す。足の動きを意識させる。
5. 飛び降りてしまったら、もう一度乗せて、やり直しをさせる。
6. どうしても飛び降りてしまうようなら、渡り板を壁際に置いて、リードで導きながら、ハンドラーの身体でさえぎるようにして、犬をU-ターンさせる。ヘッド・ハーネスを使うとコントロールしやすい。
④「~のところへ行け」
ハンドラーと遭難者の間を行ったり来たりすることを学びます。
1. 犬が知っている人をアシスタントにする。
2. ハンドラーとアシスタントは15m離れて立つ。
3. ハンドラーは、「○○のところに行け」と、アシスタントの名前でコマンドをかけ、アシスタントは犬を呼ぶ。
4. 犬がアシスタントのところに行ったら、ほめる。
5. 次にアシスタントは、「○○のところに行け」と、ハンドラーの名前でコマンドをかけ、ハンドラーは犬を呼ぶ。