(8)アラート(告知)
犬が誰かを発見したことをハンドラーに伝える合図のことを、アラート(告知)と呼びます。
アラートには、犬が何か臭いを見つけたときに示す「自然のアラート」と、犬が身体をハンドラーにぶつけてくるようなボディコンタクト・アラート、レトリバーに適している持来アラート、吠えて知らせるバーク・アラートなどの「トレーニングして取得するアラート」とがあります。
ハンドラーは犬が示す「自然のアラート」を読み取れらなければなりません。
ハンドラーが遭難者を探し出して欲しいと思うあまり、無意識に犬にアラートするように仕向けてしまうことがあります。これを「偽のアラート」と呼びます。
「レベル1:アラート」
トレーニングは、遭難者を発見したことを知らせるために、犬がハンドラーにアラートし続けることを教えます。
* 吠えて知らせる(バーク・アラート)/戻ってくる(リファインド)あり
1. 捜索トレーニングの前に「吠えろ」のコマンドを出して、犬に吠えさせる。
2. 犬が遭難者を発見して、ハンドラーに知らせに来たら、すぐに「吠えろ」のコマンドを出す。
3. 吠えたら、ほめる。
4. 犬が戻って来て、コマンドなしで吠えるようになるまで繰り返し練習する。
* 吠えて知らせる(バーク・アラート)/戻ってくる(リファインド)なし
このバーク・アラートは、リファインドのトレーニングに入る前に教えます。
1. 犬が遭難者のところに行ったら、遭難者は犬に「吠えろ」とコマンドを出す。
2. ハンドラーが到着するまで、犬は遭難者のそばで吠え続ける。
3. ハンドラーと遭難者一緒に、犬をほめる。
*吠えて知らせる(バーク・アラート)/併用型
1. 犬は遭難者を発見したら、吠える。
2. ハンドラーの元に戻って、吠える。
*身体を使って知らせる(ボディコンタクト・アラート)
ボディー・バンク
・ 肩でハンドラーにぶつかる
・ ハンドラーにとびつく
・ ハンドラーを前足でたたく
・ ハンドラーの衣服や手をそっとくわえて、ひっぱる
*持来(ブリングセル)
ブリングセルは、首輪にスナップで取り付けられた長さの調節ができる皮片です。
「持って来い」、「持って」、「取って」のコマンドで、このブリングセルを持ってくる「持来」トレーニングをします。また、ブリングセルを首につけておくことに慣れる必要があります。
1. 遭難者は、犬から約15メートル離れたところに隠れる。
2. 遭難者は、自分の脇の犬がわかりやすいところにブリングセルを置く。
3. ハンドラーは、「探せ」のコマンドを出す。
4. 犬が遭難者の方に向かったら、一緒について行き、10メートルぐらい手前で止まり、待つ。
5. 犬が遭難者を発見したら、ハンドラーは犬に「持って来い」とコマンドをかける。
この時、遭難者は犬を無視しているが、犬がブリングセルに向かわないようなら、それを持って、犬に示して、興味を誘うようにする。
「レベル2 : 上級リファインド」
犬に、ハンドラーを遭難者のところまで、必ず連れていかなければならないことを教えるトレーニングです。遭難者を発見して、ハンドラーの元に戻り、確実なアラートをするようになったら、「連れて行って」の練習を始めます。
1. 発見された遭難者は、犬を無視する。
2. 犬が遭難者を発見して、すぐにハンドラーのところに戻り、アラートをしたら、「探せ」のコマンドを出す。その時には犬をほめない。
3. ハンドラーは犬と一緒に遭難者の方へ向かいながら、「連れて行って」とコマンドを出す。
4. 犬がハンドラーを遭難者のところまで導いたら、二人で犬をほめてやる。