(6)初歩のトレーニング


1.室内で犬におもちゃを探させるゲーム


① 床にすわって、おもちゃを犬の前で動かす。

② 犬がおもちゃを取ろうとして興奮してきたら、身体の反対側やお腹の下におもちゃを隠して、 犬に探させる。

③ 犬がおもちゃを見つけたら、それを持たせてあげる。

④ 犬がゲームに慣れてきたら、今度はクッションの下などにおもちゃを隠して探させる。


2.屋外で犬に飼い主を探させるゲーム


犬をノーリードにしても危険がない場所で行うか、長いリードをつけて行う。
捜索救助の現場のような障害物がある場所でやると、犬が関節や腰を痛めることがあるので、無理をさせないようにする。

犬を先に行かせて、木の影などに隠れて、犬の名前を呼ぶ。

犬とのきずなが結ばれていれば、犬はトレーナー(飼い主)を探しに戻ってくる。

見つけることができたら、犬をほめてあげる。


このゲームで、犬は、飼い主を見つけ出せばほめてもらえること、そして飼い主からあまり離れてはいけないことを学びます。


4.オビディエンス(服従訓練)


リードを外して行う野外トレーニングでは、犬をコントロールするために服従訓練が重要ですが、準備段階での服従訓練は、捜索救助とは切り離して行います。


犬がトレーナーの意図通りに行動するように、トレーナーが厳しい態度を示しながら、コマンドを与えると、犬は物理的に与えられる強制を避けるために、決められた態勢に入ることを覚えて行きます。このような方法を「強制トレーニング」と呼びます。このような型にはまったトレーニングでは、犬が自分で考えて、直面する問題を解決しようとする能力を抑えてしまうので、捜索救助の現場では対処できなくなると考えられています。


一方、犬がトレーナーの意図に沿う行動を自ら進んでとるように仕向ける方法は、「誘発トレーニング」と呼ばれます。犬の考える能力を育てることで、捜索救助のトレーニングの幅を広げることができます。