(5)災害救助犬の認定試験


 服従訓練試験
レスキューシューズをはいて、脚側歩行、ひもなし脚側進行、据座
遠隔操作による招呼・前進・橋渡り・シーソー・トンネル・休止
銃声確固性

 実施訓練試験
災外現場を想定した試験
隠れ場所に入っている擬似遭難者を捜索する。
試験コースには、発炎筒がたかれ、草刈機やチェーンソーなどのエンジン音が鳴り響いている。誘惑物や誘惑音も用意されている。


*「救助犬国際試験規定 IPO-R(がれき捜索試験)」の概要


「服従作業」 最高総計点 50点


 ひも付き行進」/3点
歩度(緩歩、常歩、駆け足)を変えながら脚側行進をし、少なくとも1回右折、左折と反転ターンを行う。
声府および視府は、基本姿勢の時と歩度の変更の時のみ許される。
犬は、指導手の左側で正しく行進しなければならない。脚側行進中に犬が前に出過ぎたり、後ろへ遅れたり、横にはみ出したり、ターンに際し犬がちゅうちょしたりすると減点になる。
ひもは、ひも付き脚側行進の最終の停止後にはずし、肩にかけるかポケットにしまい、群集内からひも無し行進を始める。

 群集内・ひも無し行進/7点指導手は、脚側行進で最低4人の群集内を通り抜ける。
群集内停止を最低1回命じる。この時、群集は無造作に歩き回っている。
ひも無し行進中に、約20m離れたところで銃声(口径最小6mm、最大9mm)が2回発せられる。この時、犬は銃声に対して無関心に行動しなければならない。
銃声または騒音におびえる場合には、直ちにその犬の試験は中止される。
犬が銃声に対し攻撃的なときは、指導手に仕上がっていても減点される。

 行進中の「停止座」/5点
基本姿勢から常歩、ひも無し脚側行進で直進する。最低10歩進んでから歩度を変えたり、振り返ることなく、声府または視府で犬を直ちに停座させる。
指導手はそのまま30歩直進して立ち止まり、すぐに犬の方に向き直る。
審査員の指示で犬のところに戻り、基本姿勢をとる。

 行進中の「伏せ」及び「招呼」/5点
基本姿勢から常歩、ひも無し脚側行進で直進、最低10歩進んでから、歩度を変えたり、振り返ることなく、声府または視府で犬を直ちに「伏せ」をさせる。
指導手はそのまま30歩直進して立ち止まり、すぐに犬の方に向き直る。
審査員の指示により、声府または視府で犬を招呼する。犬は嬉々として駆け足でやって来て、指導手の直前に停座し、声府または視府で犬は基本姿勢をとる。

 行進中の「立止」および「招呼」/5点
基本姿勢から常歩、ひも無し脚側行進で直進する。最低10歩進んでから歩度を変えたり、振り返ることなく、声府または視府で犬を直ちに立止させる。
指導手はそのまま30歩直進して立ち止まり、すぐに犬の方に向き直る。犬が指導手に向かってくると減点される。
審査員の指示により、声府または視府で犬を招呼し、指導手の直前に停座する。声府または視府で犬は基本姿勢をとる。

 平面における「持来」/5点
つな無し脚側停座から、犬は、最低10歩前方に投げられた物品(ダンベル)に対し、1回の声府または視府ですばやく走って行って、直ちに物品をくわえ上げ、同じ速さで持来する。
犬は指導手の直前に停座して、小休止し、声府または視府により指導手が物品を取り上げるまでくわえ持つ。
声府または視府で、犬は基本姿勢をとる。
指導手は、犬が物品を渡し、基本姿勢をとるまで位置をかえることはできない。

 障害物往復飛越物品持来/5点
障害から少し離れた位置で、ひも無し脚側停座の基本姿勢をとり、物品を障害の向こう側に投げる。
声府または視府で犬は障害を気軽に飛び越え、すぐに物品をくわえて飛び帰ってくる。犬は指導手の直前に停座して、小休止し、声府または視府により指導手が物品を取り上げるまでくわえて待つ。
声府または視府で、犬は脚側停座する。

 前進/5点審査員から指示された方角にひも無し脚側行進で数歩前進し、審査員が腕を上げると同時に、犬に声府を与え、指導手はその場に立ち止まる。犬が駆け足で、指示された方角に約40歩前進したら、指導手は、声府または視府で犬をその場にすばやく伏せさせる。審査員の指示により、指導手は犬の右側に行き、声府または視府で基本姿勢をとる。

 「伏せ」待機/10点
他の犬の服従開始前に、指導手はどんな物品も置くことなく、声府または視府で犬を伏せさせる。犬の視界内で、指導手は犬から約40歩離れたところで犬に向き合い静止する。
指導手のいかなる介在もなく、犬は他の犬が訓練1~7を終了するまで、伏せのままで、いなければならない。
伏せさせている犬の指導手は、他の犬が群集内伏せの間、群衆のひとりとして加わり、攪乱行動をとる。動いている群衆内で歩き回り、そして所定の位置に戻る。
審査員の指示により指導手は犬のもとに行き、犬の右側に立ち、声府または視府で基本姿勢をとり、指導手は犬のひもを付け、他の犬の指導手と共に講評を聞く。


「熟練作業」最高総計点 50点


 バレルブリッジ 移動性のあるもの/5点
直径0.4mの同じ大きさの樽2個の上に、長さ4m、幅0.3mの木製の厚板を載せた状態の作業。
障害から約1mの位置に基本姿勢をとり、声府または視府で、犬はバレルブリッジに飛び乗り、停止する。この時、犬は立止、停座、伏せのどの状態でも良い。
審査委員の指示で、指導者は、犬とバレルブリッジの端まで歩いて行き、そこで犬は降りる。
声府または視府で、犬は基本姿勢をとる。
恐怖心または神経質にびくびくすることなく、犬は厚板の全長を歩かなければならない。

 シーソー/10点
直径0.4mの樽1個を中央に据え、長さ約4m幅0.3mの木製の厚板を載せた状態の作業。
障害から適当に離れた所で、基本姿勢をとり、声府または視府で犬はシーソーが傾くところまで登って行き、傾いたらその端まで行って降りる。
犬がシーソーを傾けた後、指導手は、シーソーに沿って歩いても良いが、犬を補助することはできない。指導手はシーソー、犬どちらにも触れることはできない。
シーソーの端において、指導手は、声府により基本姿勢をとるように命じる。

 レダーホリゾンタル/10点
横棒のある木製のはしご。長さ4m、横棒の間隔が0.3m、横棒の幅が5cm。高さ0.5mの二つの支柱で支えた状態上の作業。
障害から適当に離れて基本姿勢をとり、声府または視府で犬ははしごに向かい、進入路を歩いてはしごの端まで行く。そこで指導手は、犬を抱きかかえてはしごから降ろす。
指導手ははしごの上で作業している犬に沿って歩くことはできるが、はしごまたは犬に触れることはできない。

 ブロードジャンプ1.5m幅跳び/5点
障害から適当に離れて基本姿勢をとる。障害は、高さ最高0.5mで奥行き最低1m(水ごう、飛躍装置など)幅:1.5m。
飛躍後、犬は声府または視府で立止する。
審査員の指示により、指導手は犬のところへ歩み寄り、声府で次の障害へ犬を連れていく。

 クローリングエクサーサイズ(ほふく訓練)/5点
歩幅通路:直径約0.5m、長さ約3m。
障害から適当に離れて基本姿勢をとる。犬は障害のなかをはって行く。犬が障害を出たら、指導手は声府または視府で犬に基本姿勢をとらせる。

 不愉快な物件上の歩行/5点
ひも無しで、広さ約2㎡(板金、金属薄片、金網、廃棄物、瓶など)の上で、1回の立止。
指導手はその表面を数回にわたってひも無し脚側行進し、1回停止する。

 約20m離れたところから手を3回叩いての合図による横への移動の遠隔操作性
審査員が指定した位置で、基本姿勢をとる。
指導手は、パレットや樽などの目立つもの、かつ約40m離れている3つの地点に向かい、声府または視府で、かつ、位置を変えることなく、犬が約20m離れるまで進ませる。
その後、指導手の指示で、犬はこれらの目差す地点に向かって走って行く。
声府または視府で、犬はそれらの上に飛べ乗り、停止する。
この作業では、「続け」、「進め」のような命令をすることが許可される。
目差す地点と順序は、審査員により決定される。
第3地点後に、声府で犬は指導手のところに戻り、その直前に停座する。声府で基本姿勢をとり、指導手はひもを付け、審査員のところに向かい、他の犬と一緒に講評を聞く。


「がれき捜索試験」 捜索時間は10分以内


 スタート前の申告

 発炎筒がたかれる中で、4つの障害を捜索する

 擬似遭難者を発見した犬は、吠える、あるいは前足でひっかくなどの明確なアピールをすることが望ましい。ただし、わずかな反応でも指導手にはそれと知れる動作の場合もある。いずれにせよ、指導手は発見の告知をする。