(3)ボランティアとして活動する時の心得


1. 様子がわかるまでは、サポートに徹する。
初日からはりきって動こうとせずに、被災者や他のボランティアになじむことから始める。
他のボランティアを手伝いながら、何か足りていないことがないかを探す。
自分だけの判断で新しいことを始めてはいけない。本部に判断を仰ぐ。


2.「何でもやりますから、言って下さい」という言葉は禁句。
言われないでも、やることを自分で見つけて実行するのがボランティアの基本。
ボランティアの仕事は楽しいことばかりではない。しかし、明るい表情できびきび働くこと。


3. ボランティアの押し売りをしてはいけない。
「何かしてあげなければ」という気持ちが出すぎると、被災者が望んでいないことをしようとしたり、ボランティアどうしで被災者を取り合ったりする。そんなボランティアは、被災者が元気になっていく姿に腹を立てたり、被災者にちょっと文句を言われただけですっかり落ち込んでしまう。そんな人の潜在意識には、「被災者は弱者でかわいそうな人。それを助けることこそが私のやりがい」という思いがある。
被災者は弱者でも、かわいそうな人でもない。ごく普通の人が災害によって物的な損失をこうむったり、精神的な打撃を受けたものであり、自ら立ち直ることができる人である。
ボランティアは被災者の立ち直りの歩みに合わせて、行動をともにし、彼らが自立し始めたら、役目を終えたと考え、さっさと立ち去るべし。


4. 避難所、被災者を仕切ろうとしてはいけない。
被災者を弱者扱いする人は、被災者を扱いやすいものにしようとする。そして、ボランティアが避難所のルールを勝手に決めたり、ボランティアが出す指示に被災者を従わせようとする。例えば、被災者に集合をかけて掃除をさせようとしたり、お風呂に入る順番を決めようとしたりする。それらは、あくまでも被災者の意思で行われることであり、ボランティアが強制的にさせるものではない。


5. 目立ちたがりやはお断り。
「炊き出し」のような被災者から直接、感謝の言葉をかけられるような仕事だけをしたがったり、テレビの取材の時だけ、がぜんハッスルする人がいる。そういう人は、物資の仕分けやトイレの掃除など、裏方に見えるが大切な仕事はやりたがらない。
災害ボランティアはイベントのようにみえるところがあるが、ボランティア自身が盛り上がったりしてはいけない。黒子に徹すべし。


6. ボランティア活動の目安は1日8時間まで。
はりきり過ぎると体調を崩して、被災地のスタッフの足をひっぱることになる。
「若い人はすごいね」と言われて、徹夜で仕事をして、次の日の作業に出られなくなる人は、自分の体力を過信しているだけではなく、心のどこかに「目立ちたい、ちやほやされたい」という気持ちがある。スタンドプレーをしたり、主役意識を持ってはいけない。


7. ボランティアはサークル活動ではない。
ボランティアどうしで連帯感が生まれたからと言っても、休憩時間に騒いだり、被災者が寝静まった夜に宴会を催したり、キャンプファイヤーのつもりで焚き火をするなどの行為は許されない。自由時間だから何をしてもいいというわけではない。
食事をする時でも、被災者の目から離れたところで食べるのがマナー。
活動中は禁煙。休憩中に喫煙する場合には、決められた喫煙コーナーで。
被災地でボランティアだけのサークル活動を始めるような真似は決してやってはいけない。


8. 被災地で写真撮影をしてはいけない。
作業終了後に被災者宅の前に並んで記念撮影をしたボランティア。被災者の心の痛みに配慮できない人に、ボランティアの資格はない。


9. 被災地の企業や商店の復興を支援する意味からも、できるだけ被災地でお金を使う。
経済復興に貢献すること、義援金を送ることも支援活動。


10.被災者は「わがまま」になってしまう。

普通の状況であれば、物わかりの良い常識人でも、被災者という立場になれば、喪失感や不自由な環境下でのストレスから、身勝手な要求をするわがままな人になってしまう。そのような心理状態を理解していないボランティアは、被災者に腹を立てたり、反抗的な態度をとってしまう。