(4)避難所への動物持込み状況


震災から1ヶ月後に、避難所67ヶ所で愛玩動物飼養管理士15人が面接聴取した結果、8割の56ヶ所の避難所で動物を受け入れていた。動物を受け入れていなかった避難所は11ヶ所で、うち5ヶ所は当初から動物の持ち込みを禁止していた。(6ヶ所の避難所は調査実施時に退去済み)


動物の受け入れ頭数   犬 230頭 (飼い主184人)

                猫  87頭 (飼い主 50人)


動物を受け入れていた56ヶ所の避難所の内、大きなトラブルもなく人と動物が共存していたのは48ヶ所、苦情のあったところが5ヶ所、深刻なトラブルとなったのが3ヶ所だった。


「避難所での人と動物との共存状況」


・責任者やリーダーが対処し、比較的うまく共存している       7ヶ所

・苦情やトラブルがとくに表面化せず、共存している         41ヶ所

・苦情やトラブルは当事者同士の話し合いを原則に共存している  5ヶ所

・苦情やトラブルが表面化し、対応に苦慮している          3ヶ所  (計56ヶ所)



「避難所生活をしている『震災時にペットを飼っていた被災者』への聞き取り調査」

(犬の飼い主137人、猫の飼い主40人)


ペットに関する苦情は、「鳴き声がうるさい」、「臭い」、「不衛生」といったもの。動物アレルギーのある人との間でトラブルになり、ペットを連れて避難していた人が全員、避難所から退去させられた事例もあった。


「現在ペットを飼っている場所はどこですか?」


・迷わず避難所に連れてきた   犬の飼い主  63.5%  猫の飼い主  42.5%

・様子を見て連れてきた                8.7%            5.0%

・反対されたので外で飼っている           0.8%            2.5%

・自宅に置いて世話をしている             9.5%           22.5%

・その他                         17.5%           27.5%


*猫のその他は、「行方不明になった」が多い。

 ペットと一緒にずっと車の中で過ごした人、手元に置くことをあきらめ、新たな飼い主を探した人もいた反面、誰かが助けてくれるのは当然だという態度の人もいた。


飼育環境の激変により、「おしっこやうんちをしようとしない」、「血尿が出て、便秘になった」、「ほかの人におびえて、えさを食べず、水も飲もうとしない」などの健康上の問題、「他の人や犬を見るたびに吠えた」、「ふだんはおとなしい性格の犬だったが、避難所の外につないで飼っている時に、子どもをかんでケガをさせた」などの行動上の問題が出た。