阪神・淡路大震災での被災動物救済


(1)阪神・淡路大震災・地震発生


平成7年(1995年)1月17日午前5時46分、淡路島北淡町野島断層を震源とするマグニチュード7.3の地震が発生した。淡路島、神戸市、西宮市、芦屋市など、震度7の烈しい揺れに見舞われた。


死者6,433人。行方不明3人、重軽傷者者43,792人。

全半壊家屋274,181棟。焼失家屋約7,500棟。

避難者約35万人。断水130万世帯。停電260万戸。ガス停止86万世帯。電話不通30万回線。同時多発火災約290件。


阪神・淡路大震災の被災者は、10市10町の350万人。被災地には約8万頭の犬と11万頭の猫が飼われていたと推定され、兵庫県保険環境部の調査では、4,300頭の犬と5,000頭の猫が飼い主とはぐれたり、負傷するなどの被害を受けたとされる。


阪神・淡路大震災から1ヶ月後に避難所に出向いて行った調査では、犬の26%、ネコの39%が、吠えたり、騒いだり、震えたり、逃げたり、という予知行動を起こしたとの調査報告がある。犬やネコが、極端な異常行動をしめすのは、震度6~7クラスの大地震前、地震発生の直前24時間以内が多いと言われている。


 地震の前、2日間くじゃくが鳴き続けていた

 猫が地震の数時間前から暴れ出した

 猫が押入れに入ったまま出てこなくなった

 犬が床をかきむしった

 犬が地震の前夜、寝ようとしなかった

・ 狼のような高く長い遠吠えをした

 地震の前日から吠え続ける犬がたくさんいた

 地震の数時間前からそわそわして散歩をせがんだ犬がいた

 庭で放し飼いにしていた犬がそわそわしたり、穴を掘ったり、屋内に入りたがったりした

 寒い時期なのに地震の3日前からビーグルが犬舎に入らず、外で寝ていた


当日、午前5時ごろに犬が激しく吠えて、外に出たがったので、いつもより早く散歩に出た直後に地震が発生。自宅が倒壊して家族が生き埋めになったが、散歩に出た父親が救助隊を呼んで、救助することができたという事例もあった。


犬や猫が地震の前に普段とは違う行動を起こすのは、パルス電場という電磁波を感知しているのではないかという説があります。雷が落ちる前に犬が騒いだり、人がてんかんの発作を起こす前に気がつく犬がいるのも、微細な電気的変化=電磁波を感知しているからと考えられています。


「猫が顔を洗うと雨」ということわざも、雷雲の接近や雷によって生じる電磁波を感知した猫が、目をこするしぐさをすることから来ているという考えも示されています。


後に、動物の異常行動を解明して、それを地震予知に利用できないかという研究が始められました。犬やねずみ、カエルなどに電磁波や帯電エアロゾルを暴露して、生体内のホルモンの変化や心拍数の変化を見るといった基礎的な実験が積み重ねられています。


地震発生直後は、動物衛生対策を担当している公衆衛生課、動物管理センター、各保健所衛生課は、被災者に対する救援活動を最優先にしていたので、動物救護対策を実施する人的な余裕は全くなかった。


地震の直後から、被災地の開業獣医師のもとには、動物が次々に運びこまれた。動物たちもまた、被災者だった。

神戸市内の動物病院では、地震直後から10日間で、犬1,864頭、猫250頭が治療を受けた。


犬では、けがをして外科的な治療を受けた頭数は229頭だったが、食欲不振、下痢、嘔吐、せきなどの内科的な治療を受けた犬が1,635頭に達した。地震からの直接的なショックと震災後の環境の激変からくるストレスが原因と考えられた。