●消火、救助などの救援活動
大地震が発生した場合、消防車やレスキューは来ません。近所の人たちが協力して消火や救助を行うことになります。忘れてはならないのは、人命救助を最優先にすることです。
ペットのレスキューは、人の救助が全て終わってから行うようにしないと、周囲の理解が得られません。
1. 火災が発生した場合には、初期消火を試みる。
天井に火が回り始めたら、あきらめて速やかに逃げる。
ペットが見つけられなかった場合でも、屋内に探しに戻ったりしない。
有毒な煙を吸い込むと一瞬で神経が麻痺して、身動きが取れなくなり、窒息死する。
ペットはドアやベランダの窓が開いていれば、自力で脱出できると考える。
2. 建物が倒壊して誰かが閉じ込められている場合、ノコギリ、バール、ジャッキ、ロープといった工具があれば救助できる可能性がある。
地域の防災倉庫に救助機材が入っているので、それを使う。
消防車は火災の消火活動を優先する。火災が起こっていれば、倒壊した家屋から人を救出することは後回しにせざるを得ない。
阪神・淡路大震災では、約24万棟の住宅が全半壊し、数万人が生き埋めになった。このうち、自衛隊や消防、警察などの救助隊が救出したのは2%に過ぎなかった。98%は隣近所の人たちによって助け出された。
3. 人命救助の限界は72時間(3日間)
家屋が倒壊してその下敷きになった場合、全身が圧迫されたり、頭や胸を圧迫された人は、すぐに死ぬ。しかし、手足や腰が挟まれても、呼吸ができれば、すぐに死ぬことはない。
しかし、下敷きになったまま、飲まず食わずで生存できる限界は72時間と言われている。
4. 大地震では、災害救助犬は間に合わない。
倒壊した家屋のどこに下敷きになった人がいるかを捜すのはむずかしい。生存限界の72時間以内に、災害救助犬が間に合う可能性はほとんどない。
「クラッシュ(座滅)症候群」
倒壊した家屋に挟まれていて救出された人が、救出時には会話もできていたのに、急に死んでしまうことがあります。
おしりや太ももなどの筋肉の多い箇所を長時間挟まれていると、筋肉が押しつぶされ(座滅)、細胞が崩壊して、細胞内のカリウムが血液中に流れ出し、血中のカリウム濃度が上がって、急に心臓が止まるのです。
救出後には、圧迫を受けていた筋肉の心臓に近いところをしばり、カリウムが血液中に流れるのを防ぐ必要があります。
しかし、それで急死を防ぐことができても、その後、血圧が下がり、急性腎不全になることがあります。挟まれていた手足を動かすことができず、赤い尿が出たら、元気そうでもクラッシュ症候群と考えて、病院で人工透析を行わなければなりません。
阪神・淡路大震災では、372人のクラッシュ症候群の患者が発生し、50人が亡くなっています。