●命を守る「サバイバル・マニュアル」
私たちは、大地震で生き残った人たちから、地震の時に自分がどのような状況に置かれ、そこからどのように生還したかを聞くことができます。
しかし、実は、本当に耳を傾けなければならないのは、死んでしまった人からの声なのです。
「住宅の耐震工事をしておけば、家は倒壊しなかったのに・・・」
「寝室に重いピアノや家具を置いておかなければ下敷きにならなかったのに・・・」
「梁の下敷きになったときに、1本ののこぎりがあれば助けてもらえたのに・・・」
1.自宅にいる時に地震がきたら
地震発生時の行動
「自分の生命を守る」→「同居の家族の安全を守る」→「近所の安否を確認する」
1. テーブルの下などにもぐって落下物から身を守る。
2. ドアをあけるなどして避難経路を確保する。
3. 揺れがおさまってから、火の始末をする。
4. 落ち着いたら、次の行動を考える。
5. テレビやラジオ、地域の放送などで情報の入手。落ち着いて周りの様子を確認する。家が倒壊する可能性がある、あるいは火災が発生しているなどの危機的な状況でなければあわてて家から飛び出さない。余震で落ちてきた瓦やガラスの破片でケガをする。
6. まず、家族全員の無事を確認する。
7. 動物たちの姿を確認し、どんな状態かを観察する。
8. 避難する準備を始める。
9. 小型の動物はキャリーバッグに入れる。置き忘れてしまわないように、そのバックの責任者を家族の中で決めておく。大型の犬は姿を確認したらすぐに引き綱をつけておく。
家を出て、避難する
米国の災害動物救護の専門家は、「ペットを飼っている人は、避難指示が出てもなかなか家を離れようとしないため、避難が遅れがちになる」と指摘している。また、自宅に残してきたペットを助けようとして二次災害に巻き込まれる可能性もある。
1. 電気のブレーカーを落とす。(停電が回復して通電したときに火災を起こさないため)
2. 建物やブロック塀の倒壊、揺り返しによるビルなどからの落下物、瓦礫や割れたガラスなどに注意が必要。進むルートを選ぶ。
3. 動物はキャリーバックなどに入れて運ぶ。中型~大型犬は歩かせなければならないので、足を傷つけるおそれがある。日頃からアウトドア用の犬用シューズを履いて歩くトレーニングをしておくことが望ましい。いきなり、シューズを履かせると違和感から歩けなくなる。
4. 避難所に動物を連れていくと断わられるかもと考えて、動物を自宅に置いて避難した場合、延焼火災の犠牲になる可能性もある。一緒に避難できるのなら、迷わず、連れて出る。
首都圏では、避難所でのスペースはひとり当たり1.5~5㎡。多くの被災者が荷物をもって避難してくると考えられる。そこにペットを連れていくのだから、迷惑をかけないということが受け入れてもらうためには必須要件になる。
5. ペットがいるので車で寝泊りする飼い主も出るが、エコノミー症候群で死亡する可能性もある。長期間の車中生活は勧められない。
2.外出先で地震が来たら
1. 近くの新しい建物の中に避難する。
屋外にいると、「倒れてきたブロック塀や自動販売機の下敷きになる」、「ガラスの破片、屋根瓦、看板などの落下物でケガをする」などの危険がある。
2. 街路樹にしがみつく。
台風の強風で老木が倒れることはあるが、地中にしっかり根を張っている大木が地震の揺れで倒れることはまず、ない。
3. スニーカーに履き替える。
学校や事務所にいて、持っていれば、スニーカーに履き替える。ヒールの高い靴やサンダルでは安全に避難できない。