●老化に伴う養分要求量の変化


老化によって運動量が減少すると同時に、基礎代謝も低下します。その結果、犬の老齢期ではエネルギー要求量が維持期よりもさらに30~40%減少します。


タンパク質 


老齢期におけるタンパク質要求量は成長期ほど多くはありませんが、維持期よりは多くなります。したがって、食餌中のタンパク質含量はむしろ増加させる必要があります。


1. 骨格筋は、ストレスや疾病に際して使われるアミノ酸が貯蔵されるところです。老齢のペットに対しては、骨格筋の消失を防ぐだけではなく、抗病性を高めるためにも十分なアミノ酸を摂取させる必要があります。しかも、老齢期にはアミノ酸の利用率も低下するので、その低下も見込んで多目に供給します。


2. 老齢期はエネルギー要求量の減少や味覚の衰えなどで、食餌の摂取量が少なくなるため、食餌のタンパク含有量を高める必要があります。
特に、「生物価の高い良質なタンパク資源」を選ぶことが勧められます。この生物価とは、タンパク質の利用されやすさを表す指標で、食餌中の必須アミノ酸の割合が動物の要求する割合に近いほど利用されやすく、生物価が高いと言います。最も高いのが、全卵タンパク質、次いで乳タンパク質のガゼインです。


脂肪 :


老化によってエネルギー要求量が低下することに加え、脂質の代謝機能も衰えることから、老齢期には脂肪含量の低い食餌が適しています。しかし、必須脂肪酸は不足しないように。


ビタミンとミネラル :


老齢期のビタミン要求量は、ほとんど全てのビタミンについて維持期より増加すると考えられます。


リンの過剰摂取については、腎臓のカルシウムの沈着を促進して、腎機能を悪化させるので避けなければなりません。


うっ血性心疾患をもつ犬や猫でなければ、市販されているペットフードに含まれている程度のナトリウム(塩分)の水準(乾物当り0.45~0.90%)であれば、自己調整力もあるので問題ないと考えられるようになっています。