●皮膚と被毛の健康とフード(食餌)
皮膚や被毛の健康に関係している栄養素は、アミノ酸、脂肪、ビタミンとされています。
ビタミンでは、脂溶性のビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、水溶性のビタミンB2、ビタミンCがあげられます。
微量栄養素では、鉄分、石灰、亜鉛などが重要です。
皮膚のトラブルとフードの影響
① フードに含まれている「化学的防腐剤、添加物、着色料」や「過剰な動物性脂肪」の影響
② ビーフや大豆に代表される食餌性アレルギー
③ ビタミンの吸収不足、過剰摂取
ビタミンA、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンC、ビタミンE、パントテン酸
皮膚の肥厚とともなう、フケ、脂漏、抜け毛
④ ビタミンA反応性皮膚疾患
「皮膚角化症」は、ビタミンAを非常に多く必要とする。
コッカー・スパニエル、ラブラドール・レトリーバー、ミニチュア・シュナウザー
⑤ 亜鉛の欠乏
フットパットのひび割れやただれといった症状が代表的
アラスカン・マラミュート、シベリアン・ハスキーは遺伝的に亜鉛を多く必要とする
⑥ 銅の欠乏
毛並みが悪くなり、被毛の色があせてくる
⑦ マグネシウムの不足
マグネシウムが少ないと細胞がうまく分裂できず、皮膚のバリア機能も構築しにくくなる。マグネシウムは細胞が分裂したり、細胞が分化して角質層になるためにも必要なミネラル。かゆみを引き起こすヒスタミン(神経伝達物質)の放出を抑えるのにも、マグネシウムが関係している。魚介類に多く含まれている。
⑧ オメガ6脂肪酸(γ-リノレン酸)とオメガ3脂肪酸(DHA・EPA)との配合のアンバランス
被毛や皮膚は、外部からのバイ菌などの侵入を防御する役割を果たしている。外敵が体に侵入してくると、細胞は、内部に蓄えていた不飽和脂肪酸のひとつをエイコサノイドという激烈な反応物質に変換して、対抗しようとする。そのような防御のための一連の作用が過敏になってしまうのが、アトピー性皮膚炎やアレルギー性皮膚炎。
オメガ6脂肪酸(γ-リノレン酸)の比率が高まると、この過敏な反応がおきることが明らかになった。これを程よい反応に抑えるには、細胞内に反応を中和する別の脂肪酸、オメガ3脂肪酸を増やして、不飽和脂肪酸のバランスをとらなければならないことがわかった。
フードに魚油(EPA、DHA)や植物油(亜麻仁油、シソ油)を加えると、不飽和脂肪酸のバランスがとれる。(オメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸の混合比率は、5:1、あるいは10:1)
良質なタンパク質と被毛の関係
犬の被毛は、1日で0.18mm、全部あわせると30メートルも成長すると言われます。被毛の成分の95%は、タンパク質です。
被毛の成長のために、犬に必要とされる1日当りのタンパク質の30%が消費される計算です。
そのため、健康な被毛を維持するためには、良質なタンパク質を摂ることが大切になります。
タンパク質には、動物性と植物性があります。
植物性たんぱく質は、大豆以外は動物性たんぱく質と比べてアミノ酸のバランスも悪く、犬の消化率も70%程度です。消化率とは、食べものからどれだけの栄養分を吸収できるかを示す割合のことです。
最も高品質なタンパク質を含んでいる食品は、たまごと牛乳です。必須アミノ酸もたくさん含まれていて、犬の消化率も90~95%あります。ただし、牛乳の乳糖を分解できない犬も多く、たまごや牛乳ばかり与えるのは、栄養バランス上、好ましくありません。
犬にとって、質の良いタンパク質が効率良く摂れるのは、肉や魚からということになります。
「被毛と皮膚の健康に良い」と謳っているフードのコンセプト
① 過剰な皮脂による皮膚トラブルに配慮して、低脂肪にしている。
② 角質成分(ケラチン)を生成する含硫アミノ酸(メチオニン、シスチン)を配合している。
③ レシチンを配合している
グリセロリン脂質の一種で、全ての細胞に存在する。身体の成長や育毛に効果がある。
④ 細胞間脂質(セラミド)を育成するビタミンB群4種とヒスチジンの複合体を配合している。
⑤ コラーゲンの中でも、体内での吸収性に優れているマリンコラーゲンを配合している。
コラーゲンは、皮膚や骨、靭帯などを構成するタンパク質。皮膚の状態と毛艶がよくなる。
⑥ 体の潤い成分であるヒアルロン酸を配合している。
⑦ 体内で吸収しやすいグルコン酸亜鉛を配合している。
⑧ 皮膚の乾燥や皮脂腺の萎縮といった障害に対応するビタミンAを配合している。
ビタミンA(ベータカロチン)は、抗酸化作用が強く、肌あれや老化を予防する働きがある。