●シャンプーが水の消費量と環境に与える影響


地球上に存在する水の98%は、海の水です。残り2%の水で、飲める水はわずかに0.01%しかありません。現在、世界の1/3の人々が水不足に陥っており、1/5の人々が清浄な飲料水が手に入れられない状態です。また、水が原因で亡くなる人は、毎年1,000万人にものぼると言われています。


世界の人口は2000年では60億人でしたが、2050年には90億人に達すると考えられています。そして、なんと40億人が渇水状態なるという予測もあります。


私達の日常生活で、最も水を使っているのは入浴の200リットルで、家庭での水の消費量全体の30%を占めると言われています。シャワーを1分間出しっぱなしにしていると12リットルの水が消費されます。シャワーで使う水は、多い人では100リットル、湯船のお湯が200リットルなので、その半分を消費していることになります。


人の髪をシャンプー・リンスする場合、意識しないでお湯を使うと消費するお湯の量は30~50リットル。意識してこまめにお湯を止めながら洗うと、消費量は12~21リットルだったという結果が出ています。


それでは犬をシャンプーする場合には、いったいどのくらいの水を消費しているのでしょう。小型犬よりも大型犬の方が消費量が多いというのは当然ですが、シャワーを使っている時間を15分間とすると150~180リットルは消費していることになります。


1頭の犬で考えれば、2週間に1回程度のシャンプーですから、毎日シャワーを浴びる人間よりは水の消費量はずっと少ないわけですが、1日に何頭もの犬を洗うペットサロンでは、上手に節水することは、水道料金の節約だけではなく、水資源を大切にすることに役立つものです。


また、界面活性剤による水質汚染、環境汚染についても理解しておきたいものです。


水棲昆虫のホタルは、きれいな水の指標生物と呼ばれています。ホタルの幼虫は、カワニナなどの貝を食べて育ちます。昔の日本では、夏の風物詩のひとつとして、里山で多くのホタルが乱舞していました。しかし、今では、農薬や河川の改修、川の水の汚れなどの影響で、ホタルの幼虫が生息できる環境が失われたために、ホタルの幻想的な光の点滅を見ることはほとんどなくなってしまいました。


合成の界面活性剤が河川や湖の水質に悪い影響を与えているといった指摘もあり、環境にやさしいシャンプー剤を選ぶことも、大切です。


ホタルが生息できる水環境があることは、きれいな自然環境が守られているということです。それは災害時に、ライフラインのひとつである「水」が確保されていることにもなります。