●犬を洗う-シャンプーの手順


あるペット保険会社の調査によると、飼い主の6割が「うちの犬はシャンプーが苦手」と答えたそうです。それでも、定期的にシャンプーしている人は76%で、その頻度も1ヶ月に1~2回という人が多かったということなので、愛犬にとってストレスにならないような上手なシャンプーのテクニックへの関心は高いと考えられます。


1)シャンプーする前にブラッシングする


いきなりシャンプーするより、まずブラッシングをして毛のもつれや抜け毛を取り去っておけば、汚れ落ちが良くなるからという考え方で、一般的に勧められている手順です。


一方、シャンプー前にブラッシングしないやり方もあります。被毛を洗ってきれいにしてから、ブロウしながらブラッシングした方が傷みも少なく、毛吹きを含めた仕上がりも良いというものです。


また、シャンプーする前に使ったブラシやコームを、シャンプー後のブラッシングにそのまま使えば、せっかくきれいになった被毛を汚してしまうことになるという理由もあります。使い分けができないのであれば、ブラッシングはシャンプーの後にすべきという考え方です。


2)犬の身体をゆっくり濡らす


お湯の温度はややぬるめの36℃~37℃が適温とされますが、外気温に応じて調節するようにします。冬場に小型犬がブルブル震えているような場合には、温度を少し高めにします。


シャワーヘッドを犬の身体に密着させて、被毛の根元からしっかりと全体を濡らすようにします。

いきなり頭に近いところからお湯をかけるのではなく、後ろ足から徐々に濡らしていきます。


3)シャンプーする


シャンプー剤は、予めお湯で5倍ぐらいに薄めて、よく泡立てておきます。(適性希釈率が記載されている場合は、それを守ります。)濡れた被毛どうしがこすれあうとキューティクルが剥がれて、被毛が傷むので、泡が摩さつを和らげるクッションの働きをします。


シャンプー剤が一ヶ所に集中しないように、前3ヶ所、後ろ3ヶ所くらいに分けてつけます。基本は2度洗いです。1度目は、全身をサッと洗い、2度目はていねいに洗います。


十分に泡立てながら、爪を立てずに指の腹で地肌を洗うようにします。お尻の周り、足先、お腹など汚れやすい部分は特に念入りに洗います。目や鼻にシャンプー液が入らないようにします。


汚れがもっと落ちるようにと、ゴシゴシと力を入れて洗ってはいけません。皮膚を傷めることになるからです。


かつては、「耳にお湯が入らないように、綿で耳栓をしておく」と教えていましたが、健康な耳に水分が入っても問題はないと考えられるようになっています。もともと犬は泳ぎが得意で、自然に耳に水が入りますが、ブルブルと頭を振って、水を出すことができるからです。


ただし、耳の中までシャンプーで「耳洗い」をする場合には、完璧にすすぎ、乾かさなければなりません。乾かしきれないと思う場合には、耳の裏側(耳介)までにとどめます。


4)すすぐ


「すすぎはシャンプーの倍くらいの時間をかけるつもりで」と言われます。耳の後ろや内股、わきの下はすすぎ残しが起こりやすい箇所なので、念入りにすすぎます。すすぐときも、シャワーヘッドを犬の身体に密着させて使います。


犬は多量の毛におおわれているため、ていねいにすすいだつもりでも、シャンプー成分が地肌と被毛に残りやすいのです。合成界面活性剤の成分が残ってしまうと、防腐剤などの他の添加物をともなって体内に浸透するので、皮膚と被毛を傷めると指摘されています。


そのときに、傷ついた皮膚を修復しようとする皮膚の防衛作用が働き、浸出液が分泌されます。その浸出液と皮膚の表面に付着した古い角質、皮脂、ホコリなどが元となって、雑菌が急激に繁殖します。残留した成分も有機質なので、雑菌の栄養源となって、洗ったばかりなのに臭おうといった状態を引き起こしてしまうのです。


5)濡れた被毛を乾かす


大きめのタオルでよく水気を拭き取ります。吸水力が高いものを使って、しっかりとタオルドライをしておけば、ドライヤーの時間が短縮できます。


ドライヤーをかけるときは、熱くなりすぎないように弱温風にして、犬の身体から30センチぐらい離してかけるようにします。ブラシをかけながら、被毛の根元からしっかりと乾かします。


生乾きは、雑菌が繁殖して臭いのもとになるとともに、皮膚トラブルの原因になります。夏場でもしっかり乾かすことが必要です。最後に冷風で身体を冷やすようにします。