●犬には人間用のシャンプー剤を使ってはいけない!?


「犬には人間用のシャンプー剤を使ってはいけない」と言われます。その理由として、「犬の皮膚は弱アルカリ性に偏っているから」と説明されることがありますが、それは疑問です。


皮膚と被毛の化学的な組成は、人間も犬も同じです。皮膚や被毛を覆って保護している皮脂膜も同じ弱酸性です。もし、犬の皮膚が弱アルカリ性に傾いていたら、それは皮膚の健康上、好ましいことではありませんから、弱酸性に戻さなければならないはずです。


弱アルカリ性の洗浄剤で洗ったとしても、水ですすぐことで中性に戻り、さらに、弱酸性の皮脂膜が再生していくことで、皮膚は弱酸性に保たれるようになります。


「犬には人間用のシャンプー剤を使ってはいけない」理由としては、界面活性剤の影響が大きいからではないかと考えられます。


一般的に売られている人間用のシャンプー剤の80%以上は、界面活性剤として「高級アルコール系のラウレス硫酸塩、ラウリル硫酸塩」が使われていると言われます。それらの界面活性剤は、石鹸系やアミノ酸系のものよりも、刺激性が高く、皮膚への浸透性も高いものです。


人間用のシャンプー剤には、合成界面活性剤が15~20%配合されていますが、ラウレス硫酸塩やラウリル硫酸塩などがそれだけの量使われていれば、皮膚へのダメージも大きくなります。


人間用のシャンプー剤の容器には、厚生省が「アレルギーなどの皮膚障害を起こす恐れがある」として表示を義務づけた「指定成分」を含めて、使われている界面活性剤の種類、洗浄助剤、添加剤などが明示されています。


しかし、犬用のシャンプー剤は、薬事法の対象外の雑貨類と位置づけられているので、成分表示の義務がありません。


どんな成分が入っているのかわからない犬用シャンプー剤を使うぐらいなら、自分が使っている人間用のシャンプー剤の方がよほど安心だと飼い主が思ってしまうのも、無理からぬことですが、一般的に売られている人間用のシャンプー剤を安易に使うことは、勧められません。


界面活性剤の成分としてラウロイル・メチル・アラニンを使っている天然のアミノ酸系シャンプー剤は、一般のシャンプー剤の2~3倍の値段がしますが、最も刺激が低いとされるシャンプー剤です。用途として犬用シャンプーとして使えることを示しているものもあります。