●「皮脂が取れ過ぎるシャンプーを使ってはいけない・・・??」

体内は血液も含めて弱アルカリ性で、酸性に傾いたら生きていられません。しかし、皮膚、表皮上層部の角質層は、弱酸性です。


皮脂と汗は混じり合って「皮脂膜」という天然の弱酸性クリームをつくり、表皮面をカバーしています。皮膚のpHとは、実はこのクリームのpHなのです。


そして、角化細胞の中身、ケラチン・タンパク質は、弱酸性のときにいちばん強固になります。外界とのバリアーを強くして、細菌の侵入などを防ぐのです。


どのようなシャンプー剤を使うにせよ、洗うということは汚れの主成分である油分を取り除くことです。脂汚れは取って、皮脂は取らないようにするなどといった区別は、現実にはできません。


弱酸性でも弱アルカリ性でも、汚れを落とすためにシャンプーすれば、皮膚の表面の常在菌や皮脂膜、そして皮脂も洗い流されてしまうことに変わりはありません。


しかし、デメリットばかりではなく、しっかり洗うことで、老化した角片の新陳代謝を促す効果もあるのです。


犬の場合、皮膚の角質層は、約20日間かけて生まれ変わるサイクルを持っていますが、いちばん上の老化角片がフケとなっておだやかにはがれ落ちていくことで、皮膚は新しさをとりもどしているのです。


犬の皮膚は薄くてデリケートですから、角質層の表面を脱落させないように、爪を立てずに指の腹でやさしく洗う、すすぎには洗いの2倍の時間をかけて、洗浄成分が残らないようにするといった洗い方のテクニックも大切です。