(11)合成界面活性剤の開発と問題点
今、一般的に使われている界面活性剤は、2種類に分類できます。ひとつは石鹸(脂肪酸ナトリウムと脂肪酸カリウム)、もうひとつが合成界面活性剤です。
洗剤やシャンプーに多く使われているのは、陰イオン界面活性剤です。水に溶かしたときに、水溶液が弱アルカリ性になり、強い洗浄力があります。特に皮脂の脂汚れのようなものは、陰イオン界面活性剤でないとうまく落とすことができません。
石鹸は、天然の動植物性油脂にアルカリを反応させて作るシンプルなものなので、例えば、使い終わったてんぷら油などの廃油に苛性ソーダを加えれば、ごく簡単に石鹸を手作りできます。
合成界面活性剤は、動植物性油脂のかわりに石油を原料として使って作られたのが始まりですが、今では糖質、アミノ酸、コラーゲン、ケラチン、アルコール類などいろいろなものからも作られるようになっています。
合成界面活性剤は、製造コストが安いこと、助剤を加えることで洗浄力をアップさせる技術が開発されたことなどから、急速に普及しました。
しかし、合成界面活性剤は、皮脂膜のバリアーを破る強い浸透力を持っているので、洗剤に含まれる化学物質が体内に侵入してしまう、細胞を破壊するタンパク変成作用が皮膚の表面の酸性を失わせるので皮膚の抵抗力が低下する、さらには石鹸のように微生物が分解できないので環境破壊になる、などの問題が指摘されています。
本来は、混じり合わない水と油を乳化させる成分である界面活性剤は、バリアを構成している脂と水を混ぜて乳化することで、バリアを消してしまい、簡単に体内に浸透(経皮吸収)すると言われます。一緒に、防腐剤などの他の添加物も浸透するので、体にダメージを与えるのです。
浸透力=界面活性は、「界面活性剤の種類」、「何種類を併用するか」、「濃度」の3つの要素で決まります。
皮膚のバリアを壊さない、界面活性剤の配合量は、次のように述べられています。
1種類の場合 : 2%未満
2~3種類の場合 : 1%未満