●汚れを落とす

皮膚や被毛の汚れは、主に油性成分(70~80%)、タンパク質(10~20%)、無機塩分(数%)とされています。そのほかに、微生物、土ぼこり、排ガス微粒子なども含まれます。


油性成分の大部分は、皮脂腺から分泌される皮脂です。


タンパク質は、主に表皮の角質が新陳代謝によって脱落したもの(フケ)ですが、皮脂や汗のなかにも微量含まれています。


汚れは互いに混じり合って、空気中の酸素によって酸化したり、微生物によって分解され、体臭の原因になるとともに、皮膚を刺激します。


汚れを落とすには、ふたつの方法があります。ひとつは、「洗い落とす」(はがして洗い流す)方法、もうひとつは「溶かす、分解する」方法です。


1.洗い落とす


界面活性剤は、次のように汚れを取り除きます。

1. 浸透作用
水の表面張力を小さくして、繊維と汚れのすきまなどに溶液が入り込めるようにする。


2. 吸着作用
水に溶けるとマイナスイオンになり、汚れに吸着する。


3. 乳化作用
汚れを引き離して、全体を球状にする。


4. 分散・再付着防止作用
小さな汚れの粒はマイナスイオンに囲まれるので、電気的な反発作用で粒どうしはくっつくことがなく水の中に分散する。また汚れが皮膚や被毛に再付着することもない。


2.溶かす、分解する


強酸性の洗剤でサビを溶かしたり、強アルカリ性の洗剤でレンジにこびりついた油こげを溶かしたりします。ほとんどの物質は、強酸、あるいは強アルカリで溶けたり、ふやけたりします。


貝殻を酸に浸けると泡が出て溶ける、手で苛性ソーダに触れると皮膚のタンパク質が溶けるので、ヌルヌルしてくるといったように、酸は無機質を、アルカリは有機質を溶かしやすいのです。


強酸、強アルカリの洗剤は、人体や物質を腐食するだけでなく、反応性も高いので、むやみに使うわけにはいきません。