●被毛の性質と働き
犬は哺乳類です。哺乳類は、恐竜から進化しました。厚くて硬い角質層の皮膚をもっていた恐竜は、氷河期の寒さに耐えられずに絶滅しましたが、角質層を被毛に変化させて保温用のセーターを着込んだ哺乳類は、寒さに耐えて、生き延びることができたのです。
被毛は、夏の暑さを和らげる働きもしています。外気と皮膚の間に空気の層を作って、熱気が直接、体に伝わらないようにしているのです。
寒さを感じると皮膚が緊張して、被毛を立てることで、熱が逃げないようにします。
寒さでブルブルと身体が震えるのは不随意筋の働きで、そのような状態になるのは外気温が13℃~15℃、その温度を臨界温と呼びます。
犬は、体温が30℃以下になると体温を維持する器官に障害が生じ、25℃以下になると死んでしまうとされます。
被毛は、皮膚から斜めの角度で発生していて、全身の毛は、鼻の先端から後ろ向きへと流れを作るように生えています。この被毛の流れを「毛流」と呼びますが、空気抵抗を少なくして、水滴を下肢に流れやすくしています。