●何種類の感染症を予防する混合ワクチンを選ぶか?
混合ワクチンは、いくつかの感染症を予防するワクチンがひとつに混合されたものです。現在、日本では3種混合から9種混合までのワクチンが使われています。
混合ワクチンはただ「打てばいい」のではなく、どんな種類の感染症を予防する混合ワクチンなのかを確認しておくことも大切です。
ワクチンは、コアワクチンとノンコアワクチンに分けて考えられます。
コアワクチンは、死亡率が高い感染症や感染力が強い感染症、人畜共通感染症が含まれ、全ての犬に接種が求められるワクチンです。
・犬ジステンパーウィルス
・犬パルボウィルス
・犬アデノウィルス2型
(犬アデノウィルスには1型「伝染性肝炎」と2型「伝染性喉頭気管炎」がありますが、2型ワクチンを接種すれば、両方を予防できます)
ノンコアワクチンは、個々の動物の危険度や生活環境に応じて、その感染症への感染リスクが高いと考えられる場合に、必要に応じて接種するワクチンです。
・パラインフルエンザウィルス
・レプトスピラ
・犬コロナウィルス
獣医師は、それぞれの地域における感染症の発生状況を見定めた上で、どのタイプのワクチンを接種すべきかを判断しているのですが、ワクチンの副作用(副反応)も選択の基準になります。
突然、呼吸困難を起こして命に至るような副作用、「アナフィラキシー反応」を起こすのは、狂犬病、コロナウィルス、パルボウィルス、レプトスピラなどの不活化ワクチンに多いとされます。
レプトスピラ感染症予防が入っているワクチンは、若齢犬や小型犬に副作用を起こすケースが多いことから、使われない理由のひとつになっています。
レプトスピラは、唯一、ウィルスではなく、細菌による感染症です。人にも感染する共通感染症で、治療が遅れれば、命にかかわる病気です。
抗生物質による治療が可能であり、多発する病気ではないということから、無理に予防ワクチンを打つ必要はないのではという意見もありますが、飲食店が多いエリアには、ドブネズミがたくさん棲みついているので、野ネズミがいる郊外で暮らしている犬だけではなく、都会で暮らす犬にも、レプトスピラ感染症予防は必要と考えられています。
混合ワクチンの種類
3種
犬ジステンパー、アデノウィルス(1型&2型)
4種
犬ジステンパー、アデノウィルス(1型&2型)、パルボウィルス
5種
犬ジステンパー、アデノウィルス(1型&2型)、パルボウィルス、パラインフルエンザ
6種
犬ジステンパー、アデノウィルス(1型&2型)、パルボウィルス、パラインフルエンザ、コロナウィルス
7種
犬ジステンパー、アデノウィルス(1型&2型)、パルボウィルス、パラインフルエンザ、レプトスピラ2種
8種
犬ジステンパー、アデノウィルス(1型&2型)、パルボウィルス、パラインフルエンザ、コロナウィルス、レプトスピラ2種
9種
犬ジステンパー、アデノウィルス(1型&2型)、パルボウィルス、パラインフルエンザ、コロナウィルス、レプトスピラ3種
*6種と8種のワクチンは、製造メーカーによって含まれるものがちがう
*レプトスピラ症のワクチンは200種類以上あり、そのうち代表的な4種類が使われている