●予防ワクチンは、何年ごとに接種すればよいのか?
ワクチンは毎年接種することが慣例になっていましたが、3年に1回でも効果は変わらないという見解が、米国の複数の獣医師団体から出されました。そして、その考え方は、日本の獣医師にも支持されるようになっています。
一般的に、不活化ワクチンの効果の持続時間は短く、生ワクチンは長いと言われていますが、その報告では、不活化ワクチンである狂犬病ワクチンでも効果は3年持続する、生ワクチンであるジステンパー、アデノウィルスⅡ、パルボウィルスワクチンでは、効果は5~7年持続するというものです。
その地域の集団免疫が70~80%を超えている状況であれば、感染症の拡大は押さえられると考えられています。
専門的に言うと、「集団の中の少数に抗体値が低くても、集団で見れば感染→発症が抑えられる」という理論なのです。
しかし、日本の集団免疫は40%程度とされており、一度、感染症が発生するとすぐに拡がってしまうことになります。日本で感染症が減らない一因とも言われています。
個々の飼い主が感染症の混合ワクチンを3年に1度は必ず接種する、そして、その地域の集団免疫が70%を超えれば、感染症が発生したとしても、拡大を抑えることができるのです。
ただし、狂犬病予防法(第5条)で、毎年1回の狂犬病ワクチンの接種が義務づけられており、それを守らなかった場合には、20万円以下の罰金が科せられます。(第27条の2)