犬の感染症と予防
●犬の主な感染症
犬の感染症のほとんどが、病気の犬の排泄物や分泌物、くしゃみや咳の飛沫などによる経口感染です。
1.ジステンパー
イヌジステンパーウィルスが原因で起こり、感染力が高く、致死率も高い。
・感染経路には、くしゃみや咳による飛沫感染、犬どうしが触れあう直接感染、目やにや唾液、ウンチなどが付着しているものに触れたための間接感染がある。
・3歳未満の若い犬に多く、母乳から受けた免疫がなくなる離乳期の子犬が感染しやすい。
・感染すると4~6日で発症(発症率は25~75%)、食欲不振、発熱、結膜炎などが現れる。
・重症になると全身の筋肉の痙攣や足の麻痺など現れる。死亡率は50~90%。
2.犬伝染性肝炎(アデノウィルスⅠ型&アデノウィルスⅡ型)
・イヌアデノウィルス(Ⅰ)型
肝臓に感染すると血便が出たり、体に斑点状の出血を見る。軽い場合は、発熱、鼻水、食欲不振、扁桃腺炎、角膜炎などの症状だが、重くなると、高熱と虚脱状態から急死したり、発熱や肝機能低下から黄疸を起こして死亡することもある。
・イヌアデノウィルス(Ⅱ)型
突然、コホッ、コホッと乾いた咳が出る。発熱、扁桃腺炎、肺炎、気管支炎に進むことがある。
3.パラインフルエンザ
・イヌパラインフルエンザウィルスが原因で、咳、鼻汁などの症状が出る。
・人のインフルエンザ同様、集団感染しやすい。
・単独感染なら軽症ですむが、ほかの感染症を併発すると重症になる。
4.パルボウィルス感染症
・ヒトと犬のパルボウィルスは別のものだが、イヌパルボウィルスは、感染した犬に触れた人の手や服からも伝染してしまう感染力が強い。
・下痢や嘔吐が続いて衰弱すると死亡することが多い。抵抗力のない子犬が感染すると致死率が高く、1日程度で死ぬこともある。生後8週未満で感染すると、心筋炎を起こす。
5.レプトスピラ感染症(イクテクロ・ヘモラジー型、レプトスピラ・カニコーラ型)
・イヌレプトスピラ菌が原因の人畜共通感染症。
・感染して1~2週間で発症し、発熱、嘔吐、筋肉痛の症状を見せ、消化器系、泌尿器系に支障をきたす。
6.コロナウィルス感染症
・イヌコロナウィルスが原因で、下痢、嘔吐、脱水症状など激しい腸炎を起こす。パルボウィルス同様、感染力が強く、致死率も高い。