●太ることと大きくなることは違う
「この犬は大きいでしょう?よく食べるのよ。大きくなるのはいやだから、少ししか食べさせないようにしようと思うの!」という飼い主さんがいます。
息子や娘にはいっぱい食べて大きくなれと願うのに、わが犬はどうして大きくなってはいけないのでしょうか?
体格を決定するのは、「骨格」です。その骨格に適した筋肉や脂肪が身体について、その犬のベストな体型を決定します。
その犬種のスタンダードとされている体重や大きさが、全てではありません。犬の個体差は人間以上に大きいので、単純に人間の立場で比較してはいけません。
成長期に食餌制限をすると、身体を作るために必要な栄養が十分に供給されず、成長不良や骨格異常につながったり、将来のなんらかの疾病の原因になりかねません。また、栄養障害による性格や行動の異常が起こることも考えられます。
ペットフードに記されている給与量も、成犬時の予測体重に対しての表示なので、希望する体重になるように食餌を与えるためのものではありません。
「太ること」と「大きくなること」は違うのです。
「太る」とは、その犬の骨格に適した体長の割りには体重が超過していることで、「大きくなる」とは、骨格に適した体長や体重に成長することです。
いいかえれば、前者は生体としてのバランスが崩れていること、後者は生体としてのバランスが良い状態で成長していることです。
太ってしまった犬はたいてい、食餌でとるカロリーがオーバー気味なのに加えて、おやつをたくさんもらっています。犬用のおやつだけではなく、人間の食べものもたくさん食べています。
室内犬の場合には、家族が食べているものに興味津々、「おねだりのまなざし」攻撃に負けた飼い主から、それをゲットします。必ずしもおなかが空いているから欲しがるわけではなく、自分も食べてみたいのです。
犬の理想的な体型は、あばら骨が見えない程度、でも、さわるとあばら骨を感じる、そんな肉付きです。そして、横から見たときに、あばらが終わるところからお腹が後ろ足にかけて斜め上のラインを描き、上から見たときは、ウェストが少しくびれた砂時計のような形が良いとされます。
理想的な体型を維持するためには、バランスのとれた食事と適度な運動が大切です。つまり、その仔の体重、環境、運動、年齢に添った栄養と必要摂取カロリーが重要なポイントになります。
あなたの愛犬の一生は、「親」としてのあなたに委ねられています。平均値を提供する情報に振り回されるのではなく、個体差に適した給与量を与えて、過不足がないように栄養補給を行って、健康な身体を作ってあげましょう。