●防音対策
特に集合住宅では、犬の出す騒音がトラブルになることがあります。犬の嫌いな人にとっては、それほど大きくない犬の吠え声や歩く音でも気になってしまいます。
騒がしい場所でも、自分が気になる声や音が聞こえてしまう心理状態を「カクテルパーティ効果」と呼びます。騒音訴訟でも、それが原因であるケースが多いのです。
犬の騒音には次の2種類があります。
①足音(爪音)
犬がフローリングの床を歩くときに出す「シャカシャカ」という音は、ガラスをひっかいた時にでる嫌な音と同類の「衝撃音」です。主に階下の部屋に聞こえるので、犬が歩き回るところにじゅうたんやカーペットを敷くことで、かなり抑えることができます。
集合住宅では、床材、あるいは床下マットにはLL45の防音基準を満たしたものが使われています。
②吠え声
人間は500~5,000ヘルツの周波数を最も敏感に感じます。犬の吠え声の周波数はほとんどがこの「敏感帯域」なので、人には、特に犬が嫌いな人には、耳障りです。
大型犬の吠え声はやや低音域で、人間の耳には安定した音として聞こえるため、それほど気にならないが、甲高い小型犬の吠え声はうるさく聞こえます。
防音対策には次のようなものがあります。
①振動を外部に伝えないように、壁や床にコンクリートや鉛などの重い材質のものを使う
壁や床が薄いとそれ自体がスピーカーのように振動してしまいます。
②吸音効果の高い素材を使う
隣との壁にモルタルを塗る、クローゼットを設置して「空間」を増やす。
洋服ダンスや食器棚を置いて、「遮音壁」のかわりにする。中にモノが入っているほど、遮音効果は高くなる。
簡単な消音対策として、厚手のカーテンに音を吸い込ませるという方法もある。
③密閉度を高める
音は窓やドアのすき間から洩れるので、開閉部分の密閉度を高くして、音洩れを少なくする。
ドア側に鉄板をつけて、マグネットパッキンで受けることで、音を遮断する。
犬の騒音トラブルを防ぐためには、日頃のご近所づきあいがとても大切です。
東京都の騒音条例では、一般的な住宅地での騒音基準は55デシベル以上です。
犬の出す騒音がそれ以下であったとしても、近隣の人が日頃、飼い主のマナーが悪いと感じている場合には、それほど大きな音でなくても、心理的に耳障りに感じてしまい、トラブルになることがあります。