犬と暮らす住環境


犬は人間に比べて4~7倍の速さで成長しますが、それは犬の細胞の代謝が速いということで、環境による影響を受けやすいということでもあるのです。


犬にとって、適温は25℃、快適な湿度は40~60%とされています。ちなみにダニにとっての好適環境は、温度20~30℃、湿度70%以上です。


●愛犬にケガをさせない「足元の工夫」


足の裏が屋外用にできている犬にとっては、家の中は滑りやすいところがたくさんあります。滑りやすい床の上で暮らしていると、小型犬や中型犬には膝の関節に大型犬の場合には股関節に障害が出ることがあります。


転倒して、ねんざを繰り返しているうちに関節炎が進むことで、レトリーバーに多いとされる遺伝性疾患の股関節形成不全を発症してしまう原因にもなります。


子犬のときに脚をすべらせたり、高いところから飛び降りたことが原因になって、前脚の骨の発達が止まって、前脚が大きく曲がってしまう「成長板早期閉鎖症」という病気もあります。


フローリングなど滑りやすい床では、犬が転んで、脱臼や骨折、靭帯断裂などの事故につながることが多いので、床の材質や表面の塗料に注意が必要です。


犬の転倒を防ぐための住まいの工夫には次のようなものがあります。


1. 滑らない床材を選ぶ
無垢の桐材は、柔らかく、滑りにくく、温もりがある。傷がついても復元力がある。防音効果も優れている。


2. 床に滑り止めのコーティング、ワックスを塗る


3. 床にコルクやタイル素材のマットやカーペットを敷く


4. 犬の足裏に肉球クリームを塗る


5. 階段に専用の滑り止めマットを貼る
重心が上半身にある犬は、階段では上りよりも下りが苦手。階段は色や照明で段差の境がはっきりわかるようにする。人間用のゴム製の滑り止めは犬の爪がひっかかりやすいので、犬専用滑り止めを使う。


ダットクスフントなどの胴長系の犬種は腰に負担がかかりやすいので、フローリングの上にラグやカーペットを敷いてあげれば、負担を軽減できます。


床全体に敷き詰めなければならないわけではなく、長い廊下や犬が走り回りそうな場所に部分的に敷くだけでも効果があります。


犬が滑らない床にしたら、高齢者がつまづいて転倒してしまい、大腿骨を骨折したというのでは困ります。人にも犬にもやさしいことを条件に、床材を選んで下さい。