●犬には控えたい食べもの


牛乳


犬は、乳児期までは、小腸の粘膜でラクターゼが作られるので、飲んだ母乳の乳糖を分解できますが、離乳期後は、ラクターゼの分泌が止まるため、乳糖を分解できなくなります。


乳糖を分解する酵素ラクターゼの量(活性)が多いか少ないかで、牛乳や乳製品に含まれる乳糖を消化できるかどうかが決まるのです。


ほとんどの成犬は、牛乳に含まれている乳糖(ラクトース)を分解できません。


乳糖を分解できず、下痢をする症状を乳糖不耐症と呼びます。


赤身魚


赤身魚には、遊離ヒスチジンという物質が多く含まれている。


ヒスチジンにある種の細菌がもつ脱炭酸酵素が作用すると、アレルギー反応を引き起こすヒスタミンが生成される。


人間では、マグロ、イワシ、サバ、サンマなどの赤身魚を食べた後、30分~2時間の内に顔面紅潮、全身脱力、発疹、頭痛、めまい、吐き気などの軽い症状が現れることがある。数時間で治る。この症状が食物アレルギーの症状と似ているところからアレルギー様食中毒と呼ばれる。


白身魚のヒスチジン含有量は数mg~数十mg/100gだが、赤身魚の含有量は700~1,800mg/100gと高い。また、赤身魚肉のpHは5.5~6.0なので、脱炭酸酵素が作用しやすいpH5~6に近いため、ヒスタミンを生成しやすい。


赤身魚には、遊離のヒスチジンが多量に含まれていて、魚に付着しているヒスタミン生成菌が増殖して、ヒスチジンからヒスタミンを生成し、アレルギー様中毒を引き起こすことがある。


イカ、タコ、カニ、エビ


消化しにくいため、胃腸に負担がかかって、下痢を起こす。




肉はリンの含有率が高いので、骨を一緒に食べさせることでカルシウムとのバランスが良くなる。


これまでは、骨をかじらせると歯磨きになると考えられていたが、歯のエナメル質を傷めてしまうので、好ましくないと言われるようになっている。


軟骨部分や大きなかけらを喉に詰まらせたり、割れた骨が喉や内臓に刺さる事故の可能性もある。特に、鳥の骨は縦に裂けるように割れるので、やってはいけない。(魚の硬い骨も避ける)


生の骨は、寄生虫や細菌の問題があり、生食に適応できず下痢をすることもある。


香辛料(唐辛子、コショウ、マスタード、七味唐辛子)


犬は、嗅覚が鋭いので、香辛料などの刺激の強いものは好んで食べることはないが、食べた場合には胃腸が刺激されて下痢をしたりする。


菓子(ケーキ、カステラ、クッキー、アイスクリーム)

調味料(マヨネーズ、ケチャップ、ソース)


犬は、脂肪の匂いと甘味を好むので、バター、生クリーム、砂糖の入った食べものは大好物。脂肪は、カロリーが高く、消化に時間がかかるため、すい臓や肝臓に負担をかけ、嘔吐や下痢の原因になる。


砂糖を多く摂ると、それを処理するためにビタミンやミネラルがたくさん消費される。糖が分解する過程で発生する酸によって体内が酸性に傾かないようにするため、骨内のカルシウムが使われる。糖の分解のためにビタミンB1が消耗される。


菓子類は、肥満と糖尿病の大きな原因。含まれているナトリウム、リン、ビタミンCがカルシウムと結合して、結石を作る。


調味料のマヨネーズ、ケチャップ、ソースには、脂肪、砂糖、食品添加物などが全て入っている。


スナック菓子・せんべい・つけもの


「犬に塩分を与えてはいけない」というのは誤解だが、過剰な塩分を摂取すれば、それを排泄するために腎臓に負担をかけることになる。また、体液のバランスが崩れると心臓に負担となる。


スナック菓子は塩分とともにリンの含有量も高いので、砂糖と同じようにカルシウム不足になる。


また、濃い塩味に慣れてしまうと、治療のために塩分を制限しなければならない時に、処方食を食べなくなる。


コーヒー、アルコール


カフェインが含まれている飲みものには興奮作用がある。緑茶は、整腸作用があるので、少量のはちみつと混ぜて下痢止めに使うこともあるが、カフェインが多く含まれている。


アルコールは、少量でも絶対にあげてはいけない。