●バーフ・ダイエットの考え方
生の食材を与える「バーフ・ダイエット」というものがあります。ダイエットという言葉がついていますが、「減量」ということではありません。それは、骨と生食あるいは生物学的に適切な生食という意味です。
オーストラリアの獣医師、ビリングハーストが提唱した犬や猫の食餌法で、もともと動物は火の通っていない食べ物で健康を保ってきたのだから、そうした食餌の方が身体に合っているにちがいないという考え方です。その基本の食材内容は、次のようなものです。
60% 肉つきの骨 (生肉30%、骨30%が理想的)
10% 内臓
5% 果物
10% サプリメント(カッテージチーズ、ヨーグルト、卵、魚油など)
15% 野菜(細かく砕いたもの、ジュースにしたもの、蒸したもの)
それらをすべてミンチ状にしてよく混ぜ、犬の体重の3~8%に当たる量を一日分として与える。
犬が本来は肉食だからと言って、生肉を与えるだけでは栄養バランスは整えられません。筋肉の部分は、タンパク質や脂質には富んでいますが、カルシウム、ビタミンA、Dが不足しています。骨や内臓を含めた肉類でなければならないのです。
犬の消化器官は、加熱した肉よりも生肉の方が消化しやすいのですが、生肉にはサルモネラ菌や寄生虫がついている可能性があります。バーフ・ダイエットでは、生肉は凍らせて(魚は2週間以上冷凍の状態で置く)、寄生虫を殺してから与えることを勧めています。
生肉のもうひとつの特徴は、水分が多く含まれていることです。他の食材の消化吸収率を上げる効果もあります。
骨を与えることについて
骨が必要ということになると骨そのものを与えるイメージを持つ人が多いかもしれません。
確かに骨をかじることは、あごの筋肉の発達をうながし、歯をきれいにしたり、歯ぐきのマッサージにもなるというメリットがあると言われます。
しかし、獣医師からは、歯が欠けたり、深刻な内科疾患を引き起こした症例が数多く報告されていて、骨を与えることには否定的な意見が出されています。