愛犬のごはんレシピ
●正しい食餌とは
野生動物は食べるものを自分で選んで、体調をコントロールすることができます。でも、犬は与えられるものを食べるしか、すべがありません。犬の健康は、飼い主が何を与えるかで左右されてしまうのです。
米国の獣医師などの専門グループは、アレルギーを含めて皮膚病や病気は正しい食餌で80%は改善されると言っています。
それでは、正しい食餌というのはどういうものなのでしょうか?
食べ物で犬を過保護にしてはいけない!?
犬は食べることが大好きです。「もっとちょうだい!」とおねだりするかわいいしぐさに負けて、ついつい食べ物をあげてしまう飼い主は少なくありません。しかし、栄養過多からの肥満は、「万病の元」で、関節炎や糖尿病、循環器系などの病気を引き起こす原因になります。
肥満犬は、飼い主からおやつをいっぱいもらっているケースが多いのです。おやつは、犬とのコミュニケーションを育むものですが、与え方をコントロールしなければなりません。犬は、もらえる回数で満足するともいわれますので、小さくちぎって何回かに分けて与えるようにします。飼い主の「あげたい」気持ちも満足させられます。
犬にとっては、口に入るものは、おやつだろうとごはんだろうと食べ物に変わりはありません。市販されているおやつの成分表示を読むと、高カロリーのものが多いのです。その分のカロリーをごはんから差し引いて与えるようにしないとカロリー過多になってしまいます。
良質のドッグフードにいろいろな食材を加えて、バラエティに富んだ食餌にする
いろいろな食材を使ったバラエティに富んだ手作り食が勧められるようになっています。人間の理想的な食生活は、「1日30品目食べること」と言われているように、犬にもできるだけバラエティに富んだ食材を食べさせるべきという考え方です。確かに、飼い主自身が選んだ食材を、自分で調理して食べさせることほど、安心できる食餌はありません。
「人間の食べ残しをやってはいけない」と言われます。加工品に含まれる塩分や脂肪分が多すぎる、あるいは濃い味を覚えてしまって本来のフードを食べなくなるからと説明されています。
しかし、人が口にするものほど安全で安心な食材はありませんから、食べ残したものを犬にちょっとおすそわけするのは、悪いことではないはずです。人の食べものそのものが悪いわけではなく、犬にとって危険な食品でない限り、度を越して与えさえしなければ、いいのです。
人間用の食材を使って、犬に手作り食を作ってあげられれば理想的ですが、時間的にとてもそこまでは手をかけられない人がほとんどでしょうし、必要とされる栄養素が全てバランス良く入っている食餌を作ることは、そう簡単なことではありません。
手作り食は、タンパク質が過剰になって、カロリー、カルシウム、ビタミン類、微量ミネラルが不足する傾向があるといわれます。犬が好む肉類を多く与えてしまうことが原因かもしれません。過剰なタンパク質は、「慢性的な腎疾患を進行させる」、「排尿や肝機能の障害、ストルバイト尿結石に悪影響を与える」といった可能性があります。
栄養バランスのとれた手作り食を作るには、専門的な栄養学の知識を持ち、犬が消化しやすい調理法を知っていることが理想です。しかし、人間でも、毎食ごとにきちんとカロリー計算をして、必要とされる栄養素をもれなく摂ることのできる料理を作ることは、たやすいことではありません。しかも、人間は、いくら健康に良いからと言っても、いつも同じような料理ばかりでは飽きてしまいますから、メニューもバラエティに富んでいなければなりません。
犬にとって、栄養学的に完璧な手作り食を作ることがむずかしいのであれば、総合栄養食のドッグフードを基本にして、栄養バランスを損なわない程度の手作り食材を加えることで、食餌にバラエティを持たせる工夫をしてみることが勧められます。
幸いなことに、ほとんどの犬は毎回、同じような内容の食餌でも、喜んで食べてくれるので、食餌の全体量の20%を超えない範囲で、良質なドッグフードに好みの食材をトッピングします。