食品添加物


石器時代の人間は野生の木の実や魚、肉などを生のまま食べていましたが、火を使うようになると、煙で燻した肉が長持ちすることに気づきました。燻したことで水分活性が低くなり、燻煙に含まれる酢酸やプロピオン酸などの成分が作用して、肉を長持ちさせるのです。現代では、酢酸やプロピオン酸は、食品添加物として使われています。


古代エジプトでは、肉に岩塩をつけて食べていました。肉がおいしくなるとともに、食中毒を防ぐ目的もありました。岩塩に含まれている成分は、硝酸です。硝酸は、還元菌などの働きによって、亜硝酸塩に変化して、食品を腐らさずに保存する効果があります。現在、亜硝酸塩や硝酸塩は、食品添加剤として使われています。


自然の梅やあんず、グァバなどには、保存料の安息香酸(あんそつこうさん)が含まれています。また、自然のキャベツ、白菜、ほうれん草などには、発色剤としても使われる硝酸塩が大量に含まれています。

人類は、昔からおいしさを追い求め、食中毒を予防したり、食糧を蓄えるための保存法として、知らずに自然の食品添加物を活用してきたのです。



現代人は、毎日80種類の食品添加物をとっていると言われます。 食品添加物を目的別に分けると、次のようになります。


1.特定の食品を作るときに必要とされる添加物

かんすい (豆腐、こんにゃく、ラーメンを作るときに必要)

ベーキングパウダー(まんじゅうを作るときに必要)


2.食品の保存性を高める、食中毒を予防するための酸化防止剤、保存料


3.嗜好性(しこうせい)や品質を向上させる「着色料、香料、調味料」


4.食品の栄養価を高めたり、維持するための「ビタミン、アミノ酸、ミネラル」


食品添加物と聞くと、全て好ましくないと思い込んでしまう傾向がありますが、砂糖や塩も大量に摂取すれば身体に悪影響を与えることは同じで、加工食品に食品添加物を使う時には、身体に害を及ぼすと考えられる量をはるかに下回る量しか、使用が許されていません。


人に対して発ガン性があるとされたものは、使用が許可されません。


例えば、甘味料の「サッカリン」は、発ガン性があると指摘されたために、一時は食品への添加が禁止されましたが、その後、厳密な検査でその毒性が否定されました。


しかし、いまだに「サッカリンは危険だ」と誤解している人が多いため、イメージが悪くなることを嫌って、今では「アスパルテーム」という甘味料が使われるようになっています。


チョコレートやネギ類などを犬に与えると食中毒になるのと同じように、人には害がなくても、犬には悪影響があるため、使ってはいけないとされる添加物があります。


防腐剤、保存料として使われる安息香酸、安息香酸ナトリウムは、犬にはてんかん性けいれんを引き起こすなど強い急性毒性があると指摘されています。