必要なタンパク質量と食材


健康な成犬のタンパク質の最少要求量は、NRC(2006年)では、約8%(乾物あたり)、推奨量は10%(乾物あたり)、AAFCOでは18%(乾物あたり)としています。


ドッグフードを与える場合、含まれているタンパク質が理想的なアミノ酸組成を持っていれば、犬にとって最低限必要とされるタンパク質量は、5%です。(作業をしていたり、妊娠している場合を除く。)


組織内のタンパク質を維持するためには、若い成犬で13%、老犬では19%、猫にはさらに多く、24%のタンパク質量が必要とされています。


一般的なドッグフードには、動物性と植物性のタンパク質が混合して使われているため、成犬用では15%以上、幼犬用、妊娠している母犬用で25%以上、作業犬には30%以上のタンパク質量が含まれている必要があります。


タンパク質には動物性と植物性がありますが、もっとも良く使われるのは、カッテージチーズのような生物価の高い単独の動物性タンパクや、豆腐のような植物性タンパクです。


生物価は、タンパク質がどれだけ効率的に使われているかを示すものです。


犬は、動物性のタンパク質の方が消化しやすく、適切な割合のアミノ酸を得ることができます。


最も高品質なタンパク質が含まれているのは、たまごと牛乳です。必須アミノ酸もたくさん含まれていて、消化率も90~95%あります。


消化率とは、食べものからどれだけの栄養分を吸収できるかを示す割合のことです。


続いて、魚、牛肉、鶏肉の順に生物価が高く、植物タンパクの大豆がそれに続きます。


犬は、乳タンパクに対しては、めったにアレルギーを起こしません。牛乳を与えて起きる下痢は、適切に消化されない乳糖によって引き起こされるものです。


犬は植物性タンパク質を消化しにくく、消化率は高くても70%程度といわれています。また、大豆以外の植物性のタンパク質には、必須アミノ酸のリジンが不足しています。


ドッグフードは原料を加熱処理して作られるので、タンパク質の消化率は向上しますが、リジンは熱によって破壊されるため、利用効率は下がります。