犬の食生活を考える


●犬にとってナチュラルな食べ物とは


オオカミとウサギ


犬は、人間に飼われるようになってから雑食性になったと言われていますが、ご先祖はオオカミですから本来は「肉食」です。


オオカミにとって自然な食べものは「まるごと一匹のウサギ」で、毛皮からは繊維質、内臓や筋肉、血、骨からはタンパク質、脂肪分、そしてビタミン類やミネラル分を吸収することができます。


一方、自然界で穀物を口にすることはありません。


草食動物の馬は、腸の長さは体長の約20倍もあって、大きな盲腸(容量25~30リットル)と結腸(容量100~200リットル)にいる微生物の働きで植物を消化しています。


犬の場合は、腸の長さは体長の約5倍で、小腸の長さは2~5m、大腸は0.3~1mしかありません。


犬は肉食ができない環境では、植物性の油脂やタンパク質から体が必要とする栄養分を作ることができますが、免疫力が落ちている時などには、消化吸収しにくい穀物系の繊維質によって、腸の保護バリアが傷つけられて、食べ物によるアレルギー反応を起こすことがあると考えられています。


犬は、人間と同様に、植物性の食べものから必須脂肪酸を生成することができるので、植物性のものを与えることが良くないということではありません。食餌量の半分を肉や魚などの動物性タンパク質にして、穀物は加熱調理して柔らかくする、あるいは、犬の消化器官でも消化しやすいお米にするという方法があります。


草食動物の馬や牛ほど多くはありませんが、犬の腸にも、特定の種類の食餌に適応している腸内細菌叢(微生物)がいます。


食餌を突然変えると、犬が下痢をしたり、鼓腸症になったりするのは、腸内微生物が新しい食餌に適応できないために起こっている場合があります。ドッグフードの種類を変える場合には、1週間ぐらいかけて少しづつ変えなさいと言われる理由です。


犬が草を食べているのをみかけるのは、そう珍しいことではなく、イネ科の草を食べることが多いようです。


ランドシーア・ニューファンドランドという犬種では、父犬が子犬に食べられる草を教えたという事例が報告されています。食べ物としてではなく、本能的な自然療法と考えらています。


父犬は、まず口移しで子犬に植物を与えた後で、子犬が跡をたどれるようにその植物のある場所まで、唾液でしるしをつけて導いたそうです。よく食べていたのは、アキノキリンソウ属の植物で、サポイン、ジテルペン、フェノール多糖体、タンニンなどが含まれていて、抗炎症性、抗真菌性、殺菌性がある草でした。


植物ではなく、頻繁に土を食べる犬もいますが、それは、たぶん、内部寄生虫の増加を防ぐのに、役立っているのだろうと言われています。


ワンラビット2