●安楽死について、獣医師はどう考えているか


犬の命を人の手で奪うことを、「安楽死」と総称していますが、安楽死というより「殺処分」といったほうがふさわしいのではないかと感じるものもたくさんあります。


殺処分される理由として多いのは、飼えなくなったというものです。そのなかには不可抗力なものもありますが、ほとんどは犬を安易に手にいれたり、犬の飼い方に対する知識不足が招いたものです。


病気の場合の安楽死も、もちろんあります。しかし、日本人は安楽死を好まず、いたずらに犬の苦痛を長引かせる傾向にあります。安楽死を好まないというより、命を絶つ決断をするのを好まないと言った方が妥当でしょう。


獣医師も冷たいイメージを避けるため、助かる見込みがなく、苦痛だけがある場合でも、なかなか安楽死を勧めません。飼い主も「最後まで面倒をみた」という満足感を得るため、安楽死に踏み切りません。


助かる見込みがなく、苦痛の多い病気の場合には、獣医師はもう少し安楽死の選択を説明したり、飼い主も安楽死という決断をもう少し行ってもよいのではないかという意見もあります。