●獣医師と飼い主のペットロス


ペットを治療する獣医師との間に信頼関係が築かれていないと、ペットが亡くなった後で獣医師や動物病院をうらんだり、後悔の念で自分自身を責め続けたりして、ペットロスの回復が困難になる可能性があります。


「この獣医師がやぶ医者だから死んだんだ!」「もっと早く病気を見つけてくれれば、治ったかもしれないのに!」とペットが死んだことを誰かのせいにしてしまう「怒り」の感情が、死を宣告しなければならない獣医師に向けられることは多いのです。


ほとんどの場合には、それが時間がたつにつれて収まっていくことも獣医師は経験しています。


獣医師が病気、診断、治療について飼い主に十分に説明し、飼い主も納得して治療を委ねる信頼関係が築かれていれば、ペットが亡くなっても、「治らない病気だったんだ」「最善の治療を施したのだ」と理解できるようになり、ペットの死を受容することができます。


動物病院には、亡くなったペットには、エンバーミング(遺体をきれいに整える)を施してから飼い主に亡がらを渡しているところもあります。すっかりきれいになったペットを見て、飼い主は最善を尽くした上で、安らかな死を迎えさせてあげられたと安堵します。


そして、必ず自宅に連れて帰ってもらって、家族とのお別れもしてもらうように助言します。飼い主をペットロスにしないようにとの配慮なのです。