●叱らなければならない時には


犬のしつけでは、困った行動を叱るよりも、よい行動を積極的にほめる方が効果的だと考えられています。でも、危ないことや困ることをしたら、叱って止めさせなければなりません。大きな声で「ダメ!」と言いながら制止します。


犬の名前を呼んで叱ってはいけません。「名前を呼ばれたら嫌なことが起こる」と学習してしまい、呼んでも近寄らなくなります。


(1)わが家にやってきたばかりの子犬には、寛大な気持ちで接して下さい。


子犬はいたずらをしたり、危険なことをしますが、そんな時に飼い主がしっかり叱らないと、将来、してもいいこととしてはいけないことの区別ができない犬になってしまいます。


とは言っても、むやみに驚かせたり、怒鳴りつけたりしてはいけません。叩くのも、叩くふりをするのもいけません。


家にやってきたばかりの子犬では、1ヶ月ぐらいは人間はこわいものではなく、やさしくて頼れるものなのだと理解させることを優先して下さい。


そそうをしたり、いたずらしたりしても、赤ちゃんがすることだと割り切って、寛大な気持ちで許してあげて下さい。


(2)感情的な体罰は、犬に恐怖心を抱かせます。


体罰には、たたく、けるといったものだけではなく、犬の首の後ろをつかむ、犬の鼻先をたたく、あるいは丸めた新聞紙でたたくといったものも含まれます。


どんな性格の犬でも、体罰を与えられると人間そのものや人間の手をこわがるようになり、人間を咬むようになる可能性があるので、やたらに体罰を与えてはいけません。


しかし、他の人に迷惑をかけるようなことをした時には、しつけとして「体罰」を与えることもあります。犬が理解できる表情やきぜんとした態度で叱ることが大切です。


ほとんどの飼い主さんが愛犬を叱る時に、怒りの感情を瞬時に収めることができません。犬が悪いことをやめたら、その瞬間に叱ったり、罰を与えることをやめなければなりません。


(3)後で叱っても、効果はありません。


そそうをしたり、物を壊したりした時、時間がたってから叱っても何の効果もありません。


そんな時に、犬が「ごめんなさい」という様子を見せるのは、犬に罪の意識があるからではありません。優位者に対して、服従の態度を示しているだけなのです。


かつては、犬が好ましくないことをした時には、5~10秒以内に罰しないと犬はその行為と受けた罰とを関連づけて理解しないと言われていましたが、最近は、その最中か、した後でも1秒以内に罰しないと効果がないとされています。