●叱るよりやらせない工夫を
困ったことをしている時は叱って、やめさせます。でも、叱ると極端に萎縮する犬もいるので、叱らなくてもすむようにその原因になるものを減らしたり、無くすような工夫も必要です。
(1)なぜ、困ったことをするのかを考えてみましょう。
ごみ箱をあさってしようがない愛犬がいます。その度に叱ってやめさせようとするよりも、ごみ箱を犬がさわれない場所に移してしまいます。
このように環境を変えてしまうほうが、やめさせようとするより、はるかに簡単です。犬が困ってしまうような行動をとる場合、その原因を考えてみるのです。そして、原因がわかったら、環境を変えてみるのです。
でも、それだけでは、解決になりません。
愛犬が困った行動をする背景には、その原因となる行動欲求があったはずなので、環境を変えることで欲求の解消法を奪ってしまうことになると、今度はまた違った困ったことをするようになる可能性があるからです。
行動欲求を充たすための「代償行為」を犬に与えることが必要になります。
例えば、運動や遊びを十分にさせてあげてストレスを発散させる、防衛本能が強く出てこないように安心感を与えるための服従訓練をする、たいくつしのぎのためにおもちゃを与えるといったことです。
(2)厳しい声と表情で「やめさせる。」
犬が悪い行動や困ったことをしている最中に、思わず悲鳴をあげたりすると、それをかまってもらっている、あるいは応援してくれていると勘違いしてしまうことがあります。
犬がやっている行為が危険なことである場合には、すぐにやめさせなければなりません。
「だめ!!」と厳しい言い方で、犬が理解できるような表情で制止します。
(3)叱られて神妙な表情を見せる犬のご機嫌をとってはいけません。
叱られた犬は、体を丸めて悲しそうな上目づかいをしたり、「クーン、クーン」と鳴いたり、おなかを見せる服従姿勢をとったりします。
そんな姿についホロリとして、「よしよし、わかれば良いのよ」などと、ご機嫌をとったりしてはいけません。逆効果になります。
(4)「良い子」にしている時に、ほめてあげて下さい。
犬は、飼い主の関心を自分に向けるためには何をしたらよいかを学習します。
それが、好ましいことばかりとは限りません。
悪さをした時に、飼い主が反応してくれるので、飼い主の注意を引くためには、「何か悪いことをすればいいんだ」と学習してしまうのです。
悪いことをやめて、落ち着いて静かになったら、やさしくなでて、ほめてあげて下さい。