●アニマル・コレクターと呼ばれる人たち


「犬の多頭飼い」といった表現ではとても足りないぐらいの数、何十頭もの犬を飼っている家があります。


近隣の住民は、その家を「犬屋敷」と呼んでいて、そこから漂ってくる悪臭やハエの襲来、鳴き声などに頭を痛めています。


劣悪な環境で飼われているために、犬たちの健康状態は最悪で、そのような状態は「虐待」以外の何ものでもないといった印象を与えるものです。


このように、きちんと世話ができないのに、たくさんの犬や猫を飼ってしまう人たちを、欧米では「アニマル・コレクター」、あるいは「アニマル・ホールディング」と呼んでいます。


彼らは、どんなに劣悪な状態で犬を飼っていても、「犬を助けている」という信念を持っていて、それが犬たちを虐待していることになりかねないと指摘されても、がんとして聞き入れようとはしません。


「アニマル・コレクターの特性」


1. 捨てられていたり、愛護センターから引き取ってきて、保護している犬の数を自慢にしている


2. 自分を、人間の都合で捨てられたり、見放されたりした犬たちの保護者だと考えている


3. 「生かす」ことが、犬への愛情だと考えていて、生存環境の質には関心を持たない


4. 犬たちは全て自分がコントロールすべきだと考え、獣医師や他人の関与を許さない


5. 犬を手放したり、人に譲ったりすることを受け入れない


6. 犬が病気だったり、劣悪な環境にいても、それを認めようとしない


7. 動物虐待で処罰を受けて犬たちを取り上げられても、しばらくすると再び犬を集め始める


このような人たちは、動物にまちがった共感性をもった典型例ととらえられています。


自分には動物とコミュニケーションをとったり、共感する特別な能力があり、動物を救うことが自分の一生をかけた使命だと考えています。


彼らに共通するのは、子ども時代に何らかの混乱した不安定な状況を経験していることです。動物への異常なまでの執着は、子ども時代に生じた「愛着障害」に関係があると考えられています。