●ロボット犬「アイボ」ではダメなわけ



アイボ


ペットに話しかけるときに、ほとんどの飼い主は「赤ちゃん言葉」になります。母親語(マザー・リーズ)は、単語の繰り返しや質問、「~ですね?」といった付加疑問文などで、理解力の低い幼児などに接する時によく使われるものです。

どんなに機能が進んだロボットでも、犬にはかないません。なぜなら、犬は、「適度に手間のかかる存在」だからです。


飼い主は、「自分が世話をしなければ死んでしまう」という感情を抱くことで、「自分が犬にとってかけがえのない存在である」という満足感を手に入れます。ですから、ほとんどの飼い主は、「いかに愛犬のために尽くしているか」を嬉々として話すのです。


犬は、子育てを終えた中高年の人に親としての役割を与え、彼らは犬が自分に依存し続けることに満足感をもっています。

ホームレスの人が犬を連れているのを見かけることがあります。いわゆる社会的弱者であるホームレスの人が、捨てられた犬というさらに弱いものにエサを与えることによって、自分の存在価値を確かめ、癒されている相互扶助の関係が見えてきます。この関係は、実は犬を飼っている人には、誰にでもあるものなのです。