管理規約とペットトラブル
「動物愛護管理法」の第7条には、「動物の所有者又は占有者は、動物が人の生命、身体もしくは財産に害を加え、又は人に迷惑を及ぼすことのないように努めなければならない」という規定があります。
マンションには全ての入居者が守らなければならない「管理規約」というものがあります。この規約は、「建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)」に基づいて、マンションの住民及び議決権の4分の3以上で決議されるものです。
管理規約にペットの飼育を禁止する規定があれば、それに違反してペットを飼育することは認められないというのが、これまでのペット・住民トラブルの裁判で下された判断です。そして、飼い主は、ペットを手放すか、ペットと共にマンションを退去するかのどちらかを選ぶことになりました。
飼い主にとって、かわいがっているペットは家族の一員ですが、日本の法律では、ペットは動産、つまり「モノ」なのです。ですから、飼い主がいくら「この子は家族です」と訴えたとしても、管理規約に違反している限り、そのペットを飼ってはいけないという判断が下されるのです。
飼い主が「しっかりしつけをしているから、他の住民に迷惑はかけない」と考えていても、他の人が不快に感じて、訴える可能性があります。これまでの判例では全て、ペットの飼育禁止や損害賠償の請求、さらに厳しい場合には退去命令など、飼い主にとって厳しい判決が出ています。
「ペット可」とは、条件付きでペット飼育を許可している物件で、必ずしもペット飼育を歓迎しているわけではありません。それに対して、「ペット共生型」は、ペット飼育を前提にした物件で、比較的ペットと飼い主への理解があると言えます。
ペット可のマンションでも、ペットを飼っていない人の数の方が多い場合、飼い主が他の住民に迷惑がかからないように配慮するということを怠ったことから、管理規約が変更されて、ペット飼育が認められなくなるケースもあります。
グルーミングルームやペット専用の足洗い場、ペット表示付きエレベーターといったペット共生設備があることを売りにしたペットコンセプトマンションでも、分譲の場合には、ペットを飼っている人は、全居住者の3割~5割程度です。
ペット共生型でもペット可のマンションでも、飼い主は「少しぐらい迷惑をかけても大目に見てもらえる」という甘えの気持ちがあり、一方、ペットを飼っていない居住者は「マナーを守ることがルールになっていたはず」と厳しく考えています。このような認識のギャップがペットトラブルに影響していると言われています。