授乳
子犬は、母犬からの初乳を生後12時間以内に飲むことで、母犬からの移行抗体(高濃度の免疫グロブリン)を受け取ります。乳の出が悪くても、1~2日目の母乳は必ず飲ませるようにします。その後は人工授乳でもかまいません。
子犬用の哺乳瓶と授乳専用スポイト、子犬用の粉ミルクを用意しておきます。母犬が授乳をしなかったり、母乳の出が悪くなった場合にも、人工授乳を行います。
多頭数で産まれた場合には、発育良好の大きい子犬に人工授乳してお腹いっぱいにしておけば、発育遅れの小さい子犬は母乳をたっぷり飲むことができます。
子犬の人工哺乳での注意点は、「温度の管理」と「子犬のペースに合わせる」ことです。
ミルクの温度は、37℃ぐらい、人肌よりも少し暖かめにします。授乳時には、タオルでくるむなど、暖かくしてあげることも必要です。
子犬は、お腹がいっぱいになったら、ミルクを飲むのを止めますが、よく飲む子とあまり飲まない子がいますので、子犬の飲むペースを見ながら、調節します。
生後8日目ぐらいまでの子犬の胃の大きさは、1~5ml、その後、10~20ml程度と言われますので、授乳の前後の体重を比較して、ちゃんと飲んだかどうかチェックすることが勧められます。
6週齢(生後42日)ぐらいで、仔犬の乳歯が生え揃うと、母犬は痛いので授乳をいやがるようになります。
飲みたいのに母乳をもらえないという状態に置かれた子犬は、欲求不満や葛藤を感じることになりますが、それを乗り越える経験をすることで、将来、自分の思い通りには行かなくても我慢できるようになるという指摘もあります。
離乳食は、生後20日過ぎから始めます。産まれてきた子犬の頭数が多かったり、母乳が足りなかったりする場合には、もう少し早めるようにします。
各種ミルクの成分表(水分5%の時の比較)
●人の母乳 ●人の粉ミルク
炭水化物 57.2% 58.0%
タンパク質 11.3% 12.6%
脂質 25.3% 22.3%
●犬の母乳 ●犬の粉ミルク
炭水化物 16.9% 16.5%
タンパク質 33.8% 34.0%
脂質 38.8% 39.0%
子犬の日齢と1日のミルクの標準給与量と回数
●超小型犬
生後1~5日 5g (8回/1日)
生後6~10日 10g (6回/1日)
生後11~15日 12.5g (4回/1日)
生後16~20日 15g (4回/1日)
●小型犬
生後1~5日 12.5g (8回/1日)
生後6~10日 15g (6回/1日)
生後11~15日 17.5g (4回/1日)
生後16~20日 25g (4回/1日)
●中型犬
生後1~5日 17.5g (8回/1日)
生後6~10日 25g (6回/1日)
生後11~15日 32.5g (4回/1日)
生後16~20日 42.5g (4回/1日)
●大型犬
生後1~5日 20g (8回/1日)
生後6~10日 35g (6回/1日)
生後11~15日 50g (4回/1日)
生後16~20日 65g (4回/1日)
●超大型犬
生後1~5日 25g (8回/1日)
生後6~10日 47.5g (6回/1日)
生後11~15日 60g (4回/1日)
生後16~20日 77.5g (4回/1日)
分類は、成犬時の体重による
超小型犬 = 1.0~ 4.5kg
小型犬 = 4.5~13.5kg
中型犬 = 13.5~27.0kg
大型犬 = 27.0~46.0kg
超大型犬 = 46.0~90.0kg