妊娠期の母犬の栄養
母犬がやせ過ぎていると妊娠しても受精卵が死ぬ可能性が高く、胎仔(たいし)が大きく育つ妊娠後期に母犬が栄養不良であれば、胎仔の生存率が低くなると言われます。
反対に母犬が太り過ぎていると、受胎率が低く、妊娠しても流産したり、死産や難産の確率が高くなるとされています。
普段から適切な食餌管理を行い、健康状態を維持していることが大切なのです。
妊娠期の母犬には、妊娠中期までは通常の食餌量を与えます。
5~6週目ぐらいからは、胎仔が大きく発育し始めるので、通常から25%から最大50%多くします。
妊娠しているからと言って、過保護になってフードを与えすぎ、肥満にすると、流産、死産、難産の可能性が高くなるので、注意が必要です。
●妊娠前後の母犬の栄養
時期 摂取カロリー 食事の回数
交配前後 必要カロリー数を満たす 2回
妊娠期30日~ 妊娠前より20%増 3回
妊娠期50日~ 妊娠前より50%増 3~4回
出産して10日~ 妊娠前の2倍 3~4回
出産して20日~ 妊娠前の3倍 3~4回
人間の妊婦の場合には、妊娠中にカルシウムを摂取することで、高血圧や子癇前症などの妊娠中毒症を予防する効果があります。
しかし、妊娠しているメス犬には、カルシウムやビタミンDなどのサプリメントを与えてはいけないと言われます。
陣痛が弱くなって、帝王切開をしなければならなくなったり、出産後に骨からのカルシウムの分泌が不十分になり、低カルシウム血症になって、筋肉虚弱による難産やミルクテタニー(発作)を引き起こすことがあるとされているからです。