o子供が犬に咬まれる事故、それもその家で飼っている犬に咬まれてしまうことが多いのです。海外からは子供が死亡した事例も数多く報告されています。

 

リビングルームで愛犬と遊んでいた幼児が咬み殺されてしまった事例では、普段はおとなしくて穏やかな犬が突然、凶暴になったことから、殺処分後に獣医師によって解剖検査が行われました。何らかの異常が脳に起こったのではないかと疑われたからです。

 

しかし、解剖の結果、判明したのは意外な事実だったのです。犬の頭部を解剖していた獣医師は、その犬の耳の中に折れた鉛筆を発見しました。それを犬の耳に突き刺したのは、たぶん咬み殺されてしまった幼児に違いないでしょう。猛烈な痛みに襲われた犬が、凶暴化して幼児を咬み殺したのだと推測されたのです。

 

どんなに仲良しでも、大人が見ていないところで、判断力のない幼児と犬だけにしてはいけないという警鐘を鳴らす結末でした。

 

幼児を犬とふれあわせるときには、十分な注意が必要です。小さな子供のむじゃきな行動が犬にとっては不快なもので、防衛本能から咬みつくことがありえるからです。

 

子供と犬とのふれあいのさせ方で、よく書かれているのが、「上の方から犬の頭に手を出させてはいけない。下から犬の胸をなでなでさせましょう。」というのがあります。でも、胸に向かって手を出したら、伸びてきた手を犬が咬もうとすれば咬めないことはないのです。犬に不快感を持たせないという意味では、「胸をなでなで」は「いきなり頭の上に手を出す」よりは好ましいかもしれませんが、子供への犬の咬みつきは防げません。

 

勧められるのは、犬を「赤ちゃんだっこ」して、つまり、大人が犬の顔を自分の方に向かせるように抱っこして、子供には犬の背中をなでなでさせる方法です。こうすれば、咬みつかれる危険性は少なくなります。

 

ただし、犬は抱っこされていると優位行動をとる傾向があり、咬みつく可能性も高くなることも覚えておいて下さい。